イメルトの下でGEはどう変革したか?

imeruto

私が勤務していた頃のCEOはジャック・ウェルチ氏でかなり注目を浴びていましたが、ジェフイメルト氏に交代してからは、世間の注目度はそのころに比べると低い状態が続いていた気がします。しかし、最近とくにIOT(インターネットオブシングス;あらゆる物がインターネットにつながることによって新たなビジネスを生み出すこと)の先進企業や大胆な構造改革で注目を浴びているようです。

熊谷昭彦氏(現GEジャパン)の「GE変化の経営」(ダイアモンド社)ではその動きを内部の目で記述した本ですが、読後感として非常に懐かしさを覚えました。内容はGEにおける様々な変化が記載されていて、GEバリューと呼ばれているGEの社員が持つべき価値観も変わったのですが、確かに言葉は変わったのですがその根底に流れるものは維持されている感があります。そこが懐かしさを覚える原因ではないかと思います。

根底にあるとすぐ思い浮かぶのはスピード、人材に対する考え方でしょう。GEという企業はスピードというものに非常にこだわっていてそれを妨げるものはできる限りなくなくそうとします。そのために常に生産性を高く、できるだけシンプルにすることを常に心がけている気がします。この本の中でも再三シンプリフィケーション(簡素化)やプロダクティビティ(生産性)という言葉が出てきて懐かしさを覚えました。ベンチャー企業などでも少し規模が大きくなるとすぐに形式的な意味のない手続きがすぐに増殖する感がありますが、このような障害物に対するセンサーには非常にGEという会社は敏感でした。

人材に関する考え方でセッションCという人材評価の仕組みがなくなったということは驚きましたが、これも別に人材に関する考え方が変わったのではなく、セッションCの中で形式的な手続きが増殖してきてしまったので簡素化したようです。GEは非常に人を大切にする会社です。ただ、日本企業的な人に優しいわけではなくそこは米国企業なので業績を上げられない人間は去らなければなりません。ただし、GEの価値観に適合していない人間でない限り短期的な業績のみで判断することはなくある程度長い目で見て(とはいっても短期的業績も厳しく査定はされますが)、業績を挙げられるよう会社としても支援してくれる部分はあります。また、ポテンシャル(潜在能力)があると思われた人間には投資は惜しみません。

私もクロトンビル(米国のGEのトレーニングセンター)で研修を何度か受講させてもらい、残念ながらウェルチ氏やイメルト氏と直接話す機会はなかったですが(現在イメルト氏は直接話す機会を設けているとのことです)航空機部門の社長などのクラスの重役とは話す機会があり非常に印象深かった感は強いです。また、様々な国で経験を積ませることにも積極的で私も米国勤務ののち他のアジアの国々の機会も打診されました。

ただ、常に成果は求められ一般的な日本人(私もその範疇に入ると思います)には疲れる会社です。地位が上がればプレッシャーは強く、私もそれだけが理由ではありませんが5年でベンチャー企業に転職しました。ただ、財務部門の人間としては長い方です。そういった意味で20年以上も一線でやってこられた熊谷氏にはそれだけで正直に尊敬の念は覚えます。

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