よくある間違いー税金が重くて大変か?

目次

1.年収1000万の生活レベルは

 年収1000万というと様々なデータ上、日本では高所得の部類となります。以前こっそり給与所得控除の変更などによりこの層は増税になっているという話をしました。

高所得者?狙い撃ちの増税と児童手当の特例給付

 しかし、「高所得?」としてあげられていても生活はあまり楽ではないようで以下のようなニュース「世帯年収1000万円の質素な暮らし」に反響 「私大生2人に高校生1人じゃキツイ」「税金取られるけど手当なし」が話題を呼んでいました。

https://news.careerconnection.jp/?p=113342

 確かに、こっそり増税になるわ、児童手当はつかないわ、教育費は高いわでこまります。ただ、本当にそんなに税金自体高いの?という事を少し考えて見たいと思います。

 ちなみに自営業やオーナー社長は本当に税金安いの?という事ですが、超富裕層で優秀な節税税理士を雇えるような方は別ですが、年収1千万台レベルくらいであれば大部分の方は真面目に税金納めています。飲みや夜遊びが大好きな方は多少交際費が多く使える程度です。私は本代が経費(当然マンガや文芸書は入りません)にできるので、お小遣い制だったサラリーマン時代より自分の使えるお金は少し余裕が出来た程度です。

 税金の使い道も役人が無駄遣いしているといったイメージもありますが、公務員の方もどうせ税金だからと言って適当に扱う人は少なく、むしろ神経質なくらい注意している方が大部分です。ただ、現場は真面目ですが法令規則に縛られ動きが取れず、大局観のない支出が見過ごされている部分はあるとは思いますが。 私個人の意見としては、確かに無駄遣いもありますが、「高い税金払って」人々の生活は苦しく、「無駄に使われている」という考え方には同意できません。ここでは本当に高いのは税金なの?という話をしていきます

2.世帯年収1千万の税金はいくらか?

 ちょっとこんな世帯年収1000万の家庭を考えてみます。夫 大手メーカ―勤務50歳年収900万(
単純に月給75万) 妻パート、年収100万、大学4年と2年の子供2人です。

 まず収入からとられるのが社会保険料です。加入している健康保険や年金基金によって率は多少
違うのですが、東京都の協会けんぽを参考にしてみます。健康保険が5.83% 年金が9.15%合わせ
て個人負担は14.98%となります、ただし年金は月収635000円超になるとそれ以上はあがりません。

 計算上は年間1,157,844円の負担となります。ちなみに妻は3号保険者で社会保険料はかからな
いですし、税金もかからずかかるのは夫の900万に対してだけです。ただし、直接この金額に対して、税金がかかるのではなく様々な控除があります。

 給与所得控除195万、所得金額調整控除5万、配偶者特別控除38万、特定扶養控除63万x2=126万
社会保険料控除1,157,844円、基礎控除48万などで合計5,277,844円1が差し引かれます。人によっては医療費控除や住宅ローン控除なども引かれます。

すると実際に税金がかかるのは3,722,000円になります。(端数切り捨て)。国税は3,722,000x 20.42%-427,500=332,500円です(端数切り捨て)。

 住民税は実は控除額が違い控除額合計は4,717,844円で4,282,000円に対し税率10%と均等割り5000円がかかります(東京都の場合)。

4,282,000×10%+5000=433,200円

税金合計は765,700円で、実は世帯年収1000万に対し7.65%しか負担していません。これって本当に高いですか?

3.本当に税金は高いの?

 世帯年収1000万の手取りは社会保険料と税金を引くと7076,456円でざっくり200万引かれ手取は700万ですでもよく見ると税金765700<1,157,844で、実は負担が大きいのは社会保険料です。税金は税率X%とかいっても元のかける数字は様々な控除が引かれ実質的には負担10%を切っています。逆に社会保険料は月額63.5万円で頭打ちになるのですがそれ以下の人はなんと15%近く負担しています.

  私が就職した昭和の終わりは健康保険料4.15% 年金保険料6.2%で併せて約10%程度ですから約1.5倍にまで増えていて実は重税感の主なものは税金ではなくて社会保険料だと言えます.

  ただ、これも声高に批判はできない面はあります。自分の体験ですが米国赴任で妊婦の妻を帯同することになりました。その際、産婦人科の主治医は早めに見つけたいと思ったので、産婦人科を探していきました。米国では、大きな病院の担当医が自分でも産婦人科医を経営してそこに行く(門前薬局ならず門前診療所)のような形でした。受付で最初に言われることは、病状とかのことでなく「医療保険持っているか?」です。幸い会社が医療保険会社と提携していましたが医療保険証が届くまで時間がかかるるので、会社の人事が医療保険証明書を出してくれていました。しかし、受付は怪しそうに見て納得してくれません。私も少し上の人と相談してくれというように申し出て、最終的には受け付けてくれました。ちょっとした子供の病気でもこんな感じで日本の医療保険制度は本当にありがたいと思いました。出産費用だけでも2泊3日で1万ドル(当時のレートで約120万円)かかったようで医療保険が無かったらと思うとぞっとしました。

 こういった意味では日本の国民皆保険制度本当に感謝しなければならず多少の負担は文句言えません。では問題ないのでしょうか?

4.社会保険の問題

 ただ、いまだに75歳以上のほとんどが医療費1割負担です。我々も年金もらえるのは素晴らしいですが今年金もらっている人たちが我々の将来部分を食いしているという面があります。今70歳の方は自分が支払った額の約5倍の年金をもらえますが、我々の世代は2倍少々つまり半分は会社負担で間接的に自分が払っていると言えますからほぼ払った分が戻ってくる程度です。これもかなり税金で補充してということですからマクロ的にみると実質的にマイナスです。

 さすがに今年金もらっている人の年金をカットしろというのは暴論だと思うのでせめて今まで
物価水準以上に上げてしまった部分(マクロスライド部分)は戻せ、医療費負担は2割または3割
負担でないと現役世代、特に我々の子供世代は過重負担にあえぐことになります。よく生活に困った老人はどうするのかという話がありますが、そもそも生活保護世帯は医療費は原則かかりません。

 そういった意味で相続税増税は(個人的には嫌ですが)仕方のないことだと思います。私は、相続税を専門にやってる税理士ではないですがが、一部上場大企業勤務や公務員だった方、不動産+金融資産数千万レベルは普通で1億以上の金融資産を持っている方も普通にいました。

しかし、我々の世代(50歳代)以下は多分親の遺産無しで、同じレベルの地位でもで金融資産2000万
以上の人は(別にきちんと調査したわけではないが)は少ないと思われます。これは子供の教育費が高いうえに社会保険料など負担が重いことが言えると思います。

 そういった意味では少ない医療費や多い年金でため込んだ部分は相続税といった形で社会に還元
してもらうのは仕方ないと思うわけです。以前相続財産5000万+1000万x相続人の数まで課税されませんでしたが、3000万+600万x相続税の数は相続税の対象となります。相続税増税といって一時話題になりましたが、このような流れを考えれば仕方ないのではないでしょうか?