中小企業が知っておいた方がいい知的財産の話

1.中小企業での特許を巡るトラブル

 ベンチャ―企業の支援をしていると、ある程度技術が関連する会社であれ知的財産戦略は必要だなと感じます。とかく自分も含めて素人は技術情報は特許取ればいいじゃん!とか思ってしまいますが、必ずしもそうではありません。少し特許の基礎も勉強してみたいと思い、知人でもある深澤潔さんの電子書籍「初心者でもわかる知的財産権のビジネス戦略」を読ませていただきました

www.amazon.co.jp/dp/B08XQTB2RC

 深澤さんは京大工学部卒の技術士資格を持つエンジニア出身の弁理士、多分私の様なメカに弱い人間からするとバリバリ技術に強いです。しかし、一方中小企業診断士資格も保持していて中小企業支援もやっていて珍しいタイプの弁理士さんでしょう。あくまでも自分の個人的な体験ですが、弁理士さんは「特許出願」および「出願審査請求」して特許査定する文書を書く人で、特許を経営戦略として取得したほうがいいか、特許戦略まである程度考えてくれる方は少ない気がします。 その結果、特許権者と発明者の間で問題が起こったり、使えない特許だったり(いわゆる受付に額縁で飾る以外の意味がない)というケース残念ながら何度かで出合い、少し勉強してみた次第です。

その中で意外なものを特許で保護しているケースがある事を知りましたのでご紹介します

2.意外なものの特許

 まずは、オフィスグリコです。会社勤めの方は、オフィスおき菓子で担当者が補充にくるグリコの仕組み見たことがある方もいらっしゃると思います。しかし、これ単なる富山の薬売りの真似で特許?と思いました。しかし、ただ単に適当に回っているのではなく、「商品の補充、入替を『商品ローテーション計画』『訪問計画』に従って、コンピュータで計画的に行うための管理装置やそのためのシステム」」があるようでこれが特許となっています。ただ、10年以上前ですが会社勤めの際、夜自分の好きなお菓子が売り切れになっていてがっかりした記憶何度かあるのですが・・・システムは旨く働かなかったのかしら?

 もう一つは焼きカレー、いわゆるカレーライスにタマゴやチーズをトッピングしてオーブンで焼いたものです。「焼きカレー」の料理レシピで特許いるそうです。これも意外ですね。ただ、たまに焼きカレー見かけますがこれは特許取っているのか、それとも特許侵害か、それとも微妙に特許を外して作っているのか多少興味あります。特許は「カレールーをかけその上に卵黄が中心になるように全卵を落としさらにチーズを全体に降りかけた鍋ものを、オーブンにて全体を焼き上げた」なので卵黄を端っこにのせるとかで微妙に外しているのでしょうか?

 意匠権はモノや建物などの形状を保護する権利ですが、もアップルが意匠権を使ってiPhoneのデザインなどを守っていることは有名ですね。アップルが日本では「アイホン」という登録商標を持っている会社に許諾をもらっているのは意外でした。一方、商標は中国などでは悪用されて先に日本の有名ブランドが商標登録がされていているケースはその典型的悪用ですよね。

 ただ、特に知的財産権で特許はただとればよいかというとそうでもないようです

3.特許を使うか使わないか?

 特に技術的な発明で相手がリバースエンジニアリングなどで分解等で模倣できるものは特許で保護することは大切でしょう、逆に分解でもわからないいわゆるブラックボックスになっているものでも出願から1年半で特許は公開されてしまいます。これは特許自体が認めらるかどうかに関係なくです。したがって、特許は認められない、仕組みは公開されてしまうといったダブルパンチもありうる事も考えればこういったマネできないものはあえて特許を取らないことも戦略としてはありうることです。

 ただ、特許や意匠は防御だけでなく他にもいろいろな使い方、利用の仕方があるようです。独立行政法人工業所有権情報・研修館は特許のデータベース(特許情報プラットフォーム)で特許や意匠の文献検索ができます。特許の場合、1年半たたないと公開されない、意匠は権利設定されたものだけという多少限られた部分はありますがいろいろな用途に使えます
  
 例えば、どんな商品・開発ニーズやどんな技術シーズがあるか、また競合他社の技術の動向、他人の権利侵害を事前に防止するなどの用途に使えます。ただ単に守りではなくマーケティングや研究開発のリサーチに使えるわけです。また、自分の特許を積極的に活用してほしいという情報は「開放特許情報データベース」 で公開されているので権利者とコンタクト取りやすい取りやすく、他の特許使って開発が可能になります。

 あと、意外に顧客開拓にも使えるという事です。部品メーカーはその部品を使った最終製品の特許を見ればメーカーの顧客の候補がわかるわけです。ファイナンスや会計の世界でも知的財産の評価は大きく注目を浴びている一方、中小企業が知的財産戦略が稚拙なために泣きを見ることを良く見聞きします。非常に今後大切になってくる分野だと思います。