中小企業に対する銀行の姿勢は変わるか?

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金融庁の姿勢が不良債権処理を重視する方向から金融機関の顧客重視の体制づくりに主眼が移っているようです。主として金融機関に対し投信などを顧客の視点ではなく手数料重視で販売するような姿勢や、担保・保証に偏ったような融資の姿勢を批判しています。後者については金融庁では平成26事務年度 金融モニタリング基本方針に、「事業性評価に基づく融資等」が盛り込み、この中で、「金融機関は、財務データや担保・保証に必要以上に依存することなく、借り手企業の事業の内容や成長可能性などを適切に評価し(「事業性評価」)、融資や助言を行い、企業や産業の成長を支援していくことが求められる。」と明記されました。

金融庁の森長官はかなりこの事業性評価融資が遅々として浸透しない現状にかなりいらだちを隠せないようで、「地銀は現状のような担保保証重視で中小企業を育てられないようでは存在意義はない」といったような趣旨の発言もされているようです。私も個人的に事業性評価融資については興味を持ち、公認会計士協会東京会の中小企業支援委員会のメンバーとして金融機関等にヒアリングをしたのですが本部サイドでも「金融庁がプッシュするのでやらないとね・・・」といった感じであまり熱心な感はありません。金融機関の言い分だと中小企業だと所有と経営の分離が図られているわけではないので担保・保証がないと怖くて貸せないというところがあります。確かに、「内部留保よりも税金払わないために私的に経費使ってしまえ」というような姿勢の中小企業は正直多く、このあたりは確かにうなずけます。このあたり我々税理士も中小企業の顧問として、やたらと節税だけ勧めるのではなく将来の企業の成長をにらんだお金の使い方をきちんとアドバイスすべきだと反省する面はあると思います。中小企業側もきちんとした事業計画を作ってアピールするような努力が一方で必要だと思います。このあたり、まだ経営者自身の保証はまだ残りますが事業計画でアピールすることにより少額であれば第三者保証はなしでお客様が融資を得るなど個人的には少し成果は出てきました。

一方で銀行の個人評価の問題もあります。友人などからの又聞きではありますが、相変わらずの減点主義で事業性評価融資などという新規なことをやったプラスよりもそれが失敗した際のマイナスの方がはるかに多く、まずできないよねというのが現状なようです。こっちの方は、かなり根が深い問題で個々の人事評価体制の問題なので何とも口の出しようがありません。しいて言えば、どこかベンチマークとなるような成功例が出てくれば良くも悪くも銀行業界横並びなので一気に進む気はします。このあたり自分も貢献できるところがないか模索中です。

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