配偶者控除をめぐる迷走など税をめぐる混迷

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昨日配偶者控除の廃止の代わりに配偶者特別控除の見直しで対応するという話が日本経済新聞に載っていました。配偶者特別控除というのはいわゆる給与収入103万円の壁をなくすために、141万まで段階的に控除額を減らしていくことによって手取り額を減らさない方策です。この部分を見直すことが主な所得税の改正の目玉になるようです。

しかしそもそも配偶者控除の廃止は夫婦共働きの働く女性に税制が不利な扱いをしているので改正の目的であったはずです。一方配偶者特別控除の対象になる年収100万円台というのはいわゆるパートの主婦であり、フルタイムで働く女性には何の恩恵もないことになります。要するに「働く女性に不利な税制は改めよう」という目的で「配偶者控除の見直し」はその手段の一つに過ぎなかったのですが、いつの間にか「配偶者控除の見直し」という手段が目的になってしまった感が強いです。税収に中立ということでしたらより一層働く主婦に見えないところで増税になる可能性はあります。

既視感があるのが消費税の軽減税率をめぐる問題です。本来消費税の増税に当たって「低所得者の負担を和らげよう」という目的で「軽減税率」はその手段の一つでしかありませんでした。ところが「軽減税率」という手段が目的になってほとんどが「軽減税率の対象をどうするか」という議論が迷走して食料品(外食や酒類を除く)といった非常にわかりにくいものになりました。別に高所得者も低所得者も食料品を買う量は変わらないと思いますが一般的に高所得者のほうが高級肉や高価な食料品を購入すると思われますので恩恵は高所得者の方が大きいと思われます。この軽減税率は他の税で穴埋めすると政府は明言しているのでその中身によっては低所得者が不利になる可能性は十分あります。

軽減や控除の拡充というと国民の受けは一般的にいいのですが、いわゆる朝三暮四という話の通りです。昔中国で猿好きの老人がいたのですが家計が苦しくなったので猿にやるエサを減らそうとしました。そこで飼っている猿にトチの実を与えるのに、朝に三つ、暮れに四つやるというと猿が少ないと怒ったため、朝に四つ、暮れに三つやると言うと、たいそう喜んだという故事です。残念ながら我々は猿と同じように扱われているわけです

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