電子インボイスが広がるための方法とは

目次

1.インド、東南アジア訪問

 5月の後半いっぱい仕事でマレーシアとインドネシア、インドを訪問してきました。それぞれ2泊ずつで移動、なかなかハードな旅でした。飛行機乗るのが好きという方もいらっしゃいますが、今回エコノミー移動ということもありますが、狭いところでじっと座っているのは苦手です(ビジネスクラスでも広いとはいいがたいですし)。

 また、ビザなど入国審査やセキュリティのチェックでひたすら立ってならばされるなど、とにかく空港というところもなんだか非常に疲れます。ただ、時差などもありますのでしっかり3食食べて睡眠をとって体調を整えるのですが、今回は珍しく風邪をひいてしまい、より一層タブな旅でした

 さて、お仕事で気が付いた税制のことです。インドやインドネシアでは売上税のような税金が存在します。発想は消費税とは違い売り上げた側が売上の一部を源泉税として差し引いてそれを毎月税務署に納付するという方式です。一種の法人税の事前納付であり最終的に法人税を計算した時この納付分を控除して納付するやり方です。

 少し個人事業主の源泉所得税と似ていますが源泉納付義務者が支払側ではなく受取側です。現地の担当者に聞くと、ちゃんと計算して法人税収める会社少ないので税務署も先に税金取りたいのだろうねということでした。用途は違いますがインボイス制度的なものは導入されているようです。かなり煩雑なので電子化できないか検討することになりました。さて、そういえば日本の電子インボイスはどうなっているのでしょうか?

 

2.グズグズの電子帳簿保存法だが

 日本では電子帳簿保存法が施行されています。本来は社会のデジタル化を推し進めようという法令だったはずです。ただ、電子取引について書面保存は認めないという規定を出したあたりから風向きが変になってきました。

 中小零細企業などで電子取引について系統的に電子ファイル等で保存することに各方面から懸念が示されました。その結果、2022年からの電子取引についての施行が2年間延期になり、インボイス制度においては電子取引に係るインボイスの保存は電子保存であることは義務付けられなくなりました。

 要するになし崩し的に規制が緩くなりなんだかよくわからないグズグズの法令体系となった感は強いです。ただ、現実として請求側は請求書を紙で郵送して、顧客は紙で受け取ったものを会計システム等に入力して、社内承認をしたのち送金、請求側は入金を見て売掛金の消込をする・・・こういった書面のやり取り非効率と思う方は多いようで、効率性から電子インボイス必要だという声はあるようです。

 

3.電子インボイス

 電子インボイスができると、請求側は電子インボイス情報を会計システムに送って自動仕訳ができます。しかし受け取った顧客側は電子インボイスを受け取ったとしてもその電子インボイスを社内のシステムにそのまま取り込めないケースが多いです。なぜなら仕様が必ずしも一緒でないからです。そのため、いったん受け取った電子インボイスを打ち出して承認もらって会計システムに入力といったほぼ紙で受け取ったのと同様の処理が必要になるケースが多いです。

 そこで出てきたのがPeppolという仕組みです。ERPや会計ソフトのベンダーが政府(現デジタル庁)の音頭で集まり国際的なかつインボイス制度にも対応した共通仕様であるPeppolを共通仕様とするという動きです。

 ただ、PeppolはそもそもEU中心で作られた、ややEUのVAT(付加価値税)の影響が大きい仕組みです。したがって、その影響を除いた国際規格PINT(Pepplol International Invoicing Model)策定に向けて動き出したというわけです。

 ただ、日本だとビジネス効率化の視点が強い、前述したように東南アジアや中欧などでは取引を報告する税務当局の視点もあります。今後、このあたりの調整取り組みがどうなるか動向は注目ですね。