週末起業に冷水を浴びせかける所得税基本通達改正(改悪?)案

1.起業準備と税金 

 以前週末起業などという言葉がはやった時期がありました。サラリーマンをやりながら週末に事業を開始、ある程度の規模になったところで本格的に独立しようといったやり方です。家族を養うことを考えると今一つ独立に踏み切れないので、自分がどれだけ通用するのか試して通常のサラリーマンの仕事の時間外で試してみるということです。ただし、最初からうまくいくことはまれで、週末起業で最初は売上などあがらなくて持ち出しばかりが出るといったことはよくあります。

その際、開業届を出して確定申告をすれば赤字の部分は給与所得と通算され、一部還付されていましたそれがちょっとした心の救いになっていた方は多いのではないでしょうか?自分は思ってから2年程度で独立しましが、1年目はあかじでした。何年も週末起業を続け機会をうかがっている方も少なからずいるとは思われます。

 一方で悪質な還付を行う集団もいたという話も聞きます。ほぼ架空の事業で確定申告を行い、あえて赤字にして私的費用であるにも関わらず給与所得と通算して還付を受けるといったことです。

このあたりに国税庁が今回、目を付けました

2.新しい雑所得の概念

 国税庁は8月1日「所得税基本通達の制定についての一部改正案(雑所得の例示等)についての
意見募集を開始しました。意見募集とはいってもまぁ多分形ばかりでほぼ決定かなとあきらめ気味です。マスコミ等の注目も薄いです。

 ここでは主として副業収入に関して「事業所得」と雑所得「業務に関する雑所得」の判定基準が示されています。事業所得か雑所得かの区分として、「社会通念上事業と称するに至る程度」が原則、
ただし副業である場合収入が300万円を超えない場合特に反証のない限り「雑所得」に該当するとしています

 これは何を示すかというと小さく副業などをやっている方は65万円の青色申告控除が使えなくなりますし、赤字の場合給与所得との通算して還付されることがなくなるといことが起こります。これは、週末起業をされている方に冷水を浴びせるようなものといえます。要するに売上300万円以下で確定申告書において事業の申告をするとチェックするぞという宣言といえます。

これのメリットデメリットなんでしょうか?

3 メリットとデメリット

 前述したように悪質還付の防止にはなります。やはり公平性の観点からこういったことの芽は摘んでおくことは 必要かと思います。

 一方で売上300万を超えない所得については雑所得にするなど通達一本の「通達行政」には
 違和感を覚えます。加えて、週末起業といったことを考える方々に冷水を浴びせかける萎縮効果があるのではと思われます

 毎月決まった額が確実に給与として届くのが当たり前の お役人の方々にはわからないかもしれませんが最初の売上300万を達成する、そんなに簡単なことではありません。特に反証のない限りの反証の例示も酷く「新型コロナの影響」など極めて限定されている感は強いです 

 そもそも「社会通念上事業」とうたわれていうが、国税の調査官の方の「社会通念」、中には一般市民の「社会通念」とはずいぶんかけ離れた「社会通念」を振りかざす方も結構いらっしゃいます。最初、小さく始めることを「事業と称するに至る程度」ではないと切って捨てることが正しいのでしょうか?
 
 国税としては副業ブームが起こりつつある今、悪質な還付を防ぎたいという意図だとは思われますが、私は、効用よりも副作用のほうが大きいというのが実感です。ダメもとではパブコメにコメントはしてみます。