ワタミ介護売却と銀行の圧力

watami

 

ワタミが介護事業を売却するようです。昨年度で連結売上の約23%を占め、セグメント利益では24億を出していただけに本音としては売りたくなかったのではないかと思われます。ただ、2期連続連結純利益はマイナスで前期、経常利益が34億の赤字でした。自己資本比率も4期前は約28.9%だったのが7.3%まで低下して財務的にはかなり悪化しました。

今回、最終的に止めを刺したのは財務制限条項でしょう。財務制限条項で介護施設の入居金返還債務53億に対する保証の事前求償を求められたことがあるでしょう。財務制限条項で2期連続の連結経常赤字か24年度の純資産の部の75%未満になった場合、事前求償を求められることになります。要は53億を銀行は請求することができます。24年度末に約293億あった純資産が27年度約100億まで大幅に減少して財務制限条項に抵触しました。借入金も約前年度より100億増加して300億あまりに達しました。その中で1年以内に返済しなければならない短期借入金が160億ですからかなり銀行の発言権は強くなったといえるでしょう。一応財務制限条項の発動は猶予してもらったようですが今回の介護売却はその中で要求されたのではないかと想像します。

資金が回らないと企業は倒産してしまうので苦渋の選択だったと思います。銀行も確かに経営不振企業からは回収しないといけないので判断を責めることはできません。しかし、本当に企業の発展を願うのでしたら成長セクターの売却を迫るような再生案は要求しないでほしいと願うのは甘いのでしょうか?