三越伊勢丹社長の辞任の理由

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三越伊勢丹HDの大西社長が後任の発表もないまま辞任に至りました。日本経済新聞によれば事業の多角を目指す構造改革で成果を上げられなかったということが挙げられています。24年2月の就任ですから約5年で社長の座を降りるわけです。ここ5年間の経営成績を見ると売り上げも横ばい、経常利益も横ばいで厳しくいうとたいした成果を上げることができなかったともいえますが、このデパート離れが厳しい時代によくしのいだという見方もできます。ただし、確かに今期の第3四半期の決算で見ると経常利益は前期比36%減と大きく減らしてはいますが。

よく多角化の失敗というと通常は新規事業で巨額の赤字を作ってしまったというケースですが、金融業と不動産業は事業規模は売上は27年度それぞれ187億と256億と規模は大きくはないですが経常利益は56億と63億と堅調な経営成績をたたきだしています。小売専門店業こそ10億円の赤字を出していますが別に業績を大きく左右するほどの赤字は見られません。とりあえず、表面的に財務データを見る限り「多角化の失敗」と言い切れるようなものはありません。

一方最近の動きで目立つのが突然の店舗の閉鎖で今月多摩センター店と千葉店を閉鎖することになりました。よく考えてみると三越伊勢丹グループで目立った閉店は24年の新宿アルコット店くらいで他の百貨店に比べ著しく少ない印象はありました。今でもグループ内で新潟で伊勢丹と三越、札幌で丸井今井と札幌三越が並列しておりおそらく非効率でしょう。三越伊勢丹HDの役員構成を見ても旧伊勢丹2人と旧三越3人とたすき掛け風ですし、まだまだ実際の統合は進んでいない感があります。本来経営統合というのは重複分野についてはいち早く削減して効率化させないとほとんど意味がありません。新聞記事などでは周回遅れのリストラ実行と書かれていますが、リストラは統合を冷徹な目で見て判断することで「リストラ」自体が唯一絶対的に行わないといけないわけではありません。ただし、三越伊勢丹の場合ざっくり見てもきちんと統合後に全体感のある冷徹な判断をした形跡がみられず、このケースはおそらく「リストラ」は不可避です。まずまずの業績にあぐらをかいていて遅れをとったということなのでしょう。そういった意味で時期の社長の最大の役目は本当の統合の推進ができる冷徹なリーダーが求められると思われます。

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