ベンチャーが資金調達する際、気を付けてほしい超基本

1.資金調達が容易になったが・・・

 最近思うことですが、コロナ感染予防の特別融資を除いても最近は昔に比べて創業間もない企業でも資金調達することが容易になりました。特にベンチャーなどの成長資金として借入や出資で一気に資金を投入していくという事に対して異論はありません。ただし、一方でそのデメリットやリスクを十分認識したうえである程度は計画的に行う必要があります

 このあたり、えいや!でやって負わなくてもいいリスクやあとあとまで響く足かせになったりする残念な会社をたまに見かけます。このあたり本当は顧問税理士などがきちんとアドバイスしてほしいものだと思います

 さて、資金調達というと大きく分けて金融機関からの借入とベンチャ―キャピタル(VC)などからの投資があります。それぞれ見ていきます。

2.借入

 経営者の方から、「代表者保証無しでも融資受けられるのですよね」と言う質問をされることがたまにあります。これは「経営者保証に関するガイドライン」のことだと思われます。

 金融庁より平成25年12月「経営者保証に関するガイドライン」が公表されました。これにより金融庁は各金融機関に対して
中小企業でも経営者保証無し融資を積極的に行うよう促しています。ただし、会社と社長個人の関係の明確な分離や財務基盤がしっかりしていること、経営が非常に透明できちんとした事業計画、中小企業の会計に関する指針に沿った決算書を作成など様々な条件が定められています。創業間もない会社だったりするとハードルは低くはありません。

 また、このガイドラインによれば経営者保証をしていても経営者にある程度の財産を残すという方針を定めています。要するに身ぐるみはがされない・・・ということです。

 ただし、これは金融機関の「努力義務」です。残念ながら実際にこの「経営者保証に関するガイドライン」は企業側の体制が整っていないのと金融機関側も政府系金融機関など一部を除いてさほど積極的に取り入れていないのでまだまだ借入に対する代表者保証はまだまだ原則必要と考えていいでしょう。

 代表者保証の場合、連帯保証です。連帯保証が普通の保証と違うのはは催告・検索の抗弁権が無いことです。平たくいうと、会社が借入金の返済に遅れれば、債権者である金融機関は返済のために連帯保証人を身ぐるみはいでも(法律的には)問題ありません。

 例えば、雇われ社長などで連帯保証するなどというケース、良くお聞きするとオーナー株主が責任を持つなどと言っているとのことですが、たとえオーナ―株主が一緒に連帯保証していたとしても金融機関はさっさと早くお金を取り立てることができる方から取り立てて何の法的問題はないです。これが連帯保証です。上記の場合オーナ―株主が、担保提供していても、その担保に余力がなければ全く安心できません。

 こういったことで借入が簡単だといっても借りたものは必ず返済しなければならないので代表者の方はある程度の覚悟が必要です。では出資はどうでしょうか

3.出資

 外部投資家による出資を単なる資金調達だと思っている方は多いです。また、借入金と違い返済の義務は通常ないので安心だと思っている方が多いです。ただ、投資家側も大切なお金を預けるわけですから経営に介入してくる可能性は十分あります。その議決権によっては会社をある程度支配される可能性があります。

 ただし、介入や支配というとネガティブな感じ持たれるかもしれませんが、様々な助言や手助けをしてくれるケースもあるので一概にはマイナスではないです。有力な投資家などは顧客開拓などに協力してくれたり、また著名な投資家(極端な例だと孫正義さんとか)が入っているとそれだけでその会社に信用が付きます。一方、あくまでも一般論ですが、報告、承認などの手続きが面倒になることは確かです。

 加えて日本VC(ベンチャーキャピタル)などは投資に際して株式買取り条項を付けてくる事が多いです。しかもこれは会社だけではなく経営陣にも買い取り義務が大抵あります。会社での買取は会社法での規程により細かく定められておりできないケースが多いからです。

 通常、投資契約違反(役員派遣、増資の際の同意、大きな投資の事前承認)、表明保証違反(出資の際に説明したことに虚偽がある)、IPO努力義務違反(IPOできる状態なのにしない)などの場合は、買取義務が発生することが多いです。

 随分借入や出資してもらうことがベンチャーでも容易になりました。しかし、そのためにはある程度そのメリット・デメリットをきちん把握して覚悟をして臨んでいただきたいと思います。