個人事業主や小さな会社はこれからの時代どんな会計ソフト使うべきか?

目次

1.コロナ感染防止と書店

 最近、自著「現場で使える決算書思考」を発刊したため、そのプロモ―ションとして様々な書店に伺うことが多くなりました。3密を避けるという意味で仕方のないことかもしれませんがやはり人の数はコロナ以前に比べ随分少なく寂しい感じでした。人が並ぶ線がコロナ感染防止のため間が空いて長くなっているのですが、並ぶ人が少ないのでその線が目立つ感じです。

 私は書店をぶらぶらしていろいろな本を手に取ってみるというのは大好きで、多分同好の士も結構いらっしゃると思われます。是非、そういった方々は書店文化絶やさないためにもアマゾンではなく書店に行って本買ってほしいですね。

 さて、書店をぶらぶらしているときに「会計士・税理士はこれからどう生きるか AI時代にも稼げる「働き方の未来地図」」
というかなり刺激的な題名の本を見かけたので購入してみました。多分、会計士・税理士以外の方にとっては「会計士・税理士がどう生きるか」などはどうでもいい話ではあると思います。ここではこの本を読んで思った、個人事業主や比較的小さな会社の経営者は会計ソフトについてどのように考えればよいかという点だけ述べたいと思います。

 www.amazon.co.jp/dp/4046048743

2.クラウド会計ソフトとインストール型会計ソフト

 会計ソフト大きく分けてクラウド会計ソフトとインストール型会計ソフトがありますが、そもそもどこが違うのでしょうか?
インストール型は言葉の通り自分のPCにソフトをインストールします。したがって、記帳を税理士等に頼んでいる場合、会計ソフトは税理士側にインストールされているので自分では結果しか見ることができないことになります。自分で入力する場合は仕訳の形で入れないといけないのである程度簿記の知識がないと入力は難しい面があると思われます。そして、そのソフトがインストールされているPCでしか入力ができません

 クラウド系のソフトの場合、インターネット上に会計ソフトがあるので、どのPCでも使え、スマホでも運用ができます。記帳を税理士等に頼んでいても権限をもらえば自分も細かく中身をいつでも見ることができます。もし、自分または自社で記帳しているのでしたら、クラウド系のソフトはインターネットでつながっているところならばどこでも使えるので在宅勤務の時代にも適合しています。ウェブ関連のデータと連動しているので、クレジットカードやウェブバンキングと連動していて自動仕訳ができます

 欠点はネット環境に左右され、遅くなったり操作性に問題があるケースがあります。加えて、クラウド会計2社も上場するほど規模も大きくなったのでバグについては少し安定してきましたがそれでも新しい機能には大抵バグがあって安定性に欠ける部分があります

 あくまでも私見ですがバグの問題についてはシリコンバレーベンチャー的発想が背景にはあると思います。試作品(プロトタイプ)レベルで製品をリリースして、実際の不具合に対応しながら製品を良くしていく発想です。正直税理士側としてシステムのバグで決算書にエラーがあっても、なぜエラ―見つけてくれなかったのということで信頼を失うのは税理士側です。本当にこの点は勘弁してほしいとは思います。

 多分、一番大きい欠点はセキュリティだと思います。このあたりはご自身でパスワードはあまりに簡単なものは使わないなど気を付けるしかありません。ただ、インターネット上でパスワード管理しているもの皆さんもこれだけではないですよね。

 多分自分で記帳するならば、クラウド会計ソフトの方が圧倒的に使いやすいと思います。個人や小さな会社が自分で記帳するのであればクラウド会計ソフトがお勧めです

3.クラウド会計ソフト自分でどこまでできるのか

 税務申告もクラウド会計が提供しています。個人的意見ですが個人の簡単な確定申告であれば申告も大丈夫かもしれません。しかし、税務申告はミスをすると取り返しがつかないことがあります。以前試験的にクライド会計ソフトの申告機能使ってみましたが、致命的な問題が生じたことがありました。細かくチェックしていたので事前に発見し、お客様には全く迷惑をかけませんでしたが、あぶないところでした。「実際の不具合に対応しながら製品を良くしていく」という発想は税務ソフトにはもっとなじまないと思います。

 また、税法はコロコロ変わるのでクラウド会計ソフト側がそれにきちんと対応できるのかは正直心配です。あくまで私見ですが私は法人税の申告などにはクラウドの申告ソフトは使う気が起きません。でもある程度の規模になるとみなさん税理士の顧問がついている場合が多いと思います、。そのケースはどうでしょうか

4.税理士の顧問がついている場合

 毎月ごと、4半期毎に自社の状況を財務諸表でチェックしたい方だと、クラウドソフトだと手間なしで税理士と一緒に細かく内容まで見ることができるのでお勧めです。また、さまざまな請求書発行や消込、ポスレジといったレジと会計帳簿の連動もあるので事務処理を効率化できる機能も付いています。こういったバックオフィスの効率性が必要な方などはクライド会計はお勧めです

 逆に言えば、1年間の結果と税務申告さえしてもらえばいいという方にとっては多分どのソフトであろうとほぼ関係のない話でしょう。特に個人事業主とかではこういった方多数派とは思われます。

 私の場合、お客様には3か月に一回程度は経営数値を振り返ってくださいねとお願いしているので結果としてクラウドソフトの方が多いです。個人的にはお客様は事務作業は最低限にしてもらい本業に集中、一方経営数値は分析してさまざまな経営意思決定に役立ててほしいと思います。そのあたりは税理士としてお手伝いしていきたいです。 そういった意味ではクラウドソフトは広がってほしいと思うことは確かだろうと思います。