内部留保の誤解について -企業と社会福祉法人

 

最近ちょくちょく内部留保について話題に上ります。ざっくりいうと企業でいう税引後利益から配当等を引いた額の累積であり、もう一つ話題になっている社会福祉法人では発生源内部留保でざっくりいうと今までの利益の累積と積立金です。目的は公平性であり両者ともに不当に利益をため込みすぎているのでそれを吐き出すべく税金その他で手当てしようということでしょう。

まず上場企業であればガバナンスが働いている限り無駄に内部留保をため込んでいれば株主から増配か将来のために投資を求める声があがり、それが経営に反映されるはずです。また、貸借対照表が重い会社、つまり多額の設備投資が必要な会社は必然的に一般的には多くなります。簿記を少しでもかじった型ならわかると思いますが30億円の設備に現金を払ったとしても内部留保は全く変わりません。つまりそれだけの現金が手元で眠っているわけではありません。これに税金をかけたとしても担税力、いわゆる税金を支払う余力が現実的にはないわけです。

社会福祉法人の場合積立金というのは将来の設備更新に使うものなどが多く無駄にため込んでいるわけではありません。私見ですが一部を除き社会福祉法人の方というのは真面目すぎる方が多いので「利益を出してはいけないくらい」に思ってしまい改修や建替えの資金に事欠いているという印象が多いです。地方自治体もこれも偏見かもしれませんが新しいハコモノを作ることは熱心でも既存の施設を改修、建替えすることにはあまり熱心ではない感があります。地方議員さんなども「XX病院を建てた、保育園を新設した・・」というアピールはよく聞きますが「改修や建替えた話」などは全く聞きません。内部留保に焦点を当てすぎるのはピントが少しはずれていると思います。これも一部の社会福祉法人で見られたように理事会が理事長一族に牛耳られていたようなガバナンスの欠如が問題の根源かと思います。そういった意味で社会福祉法人改革でカバナンスの強化がうたわれたことは正しい方向かと思います。ただ、評議員定数7名以上と定めるなどお役所的なやや現場感のない規制も入っているのはやや気にかかりますが。

やたらとお役所が介入したり規制を強めるよりもカバナンスをいかに働かせるかということに知恵を絞る方が私は効率的に目的を達成することができると思われます。

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