インボイス制度導入での免税事業者との取引の盲点

1.免税事業者への対応

 そもそも、私のお客様で非営利法人と起業直後の方を除けば免税事業者の方はほとんどいらっしゃらないこともありますが、免じ事業者の方からインボイス制度導入でどうしたらよいかという相談はほとんどありません。むしろ、インボイス制度についてご相談で多いのは、むしろ課税事業者さんから取引先に免税事業者が結構多いのですがどうしたらよいですか?という質問です

 後で、詳細は述べますが、原則は適格請求書登録事業者になってもらうお願いをしてくださいと申し上げています。   適格請求書登録事業者になってくれとお願いすること自体は問題ないですが、一方的に通告すること  (例えば登録しないと取引を打ち切る、消費税部分は負担してもらうなど)は違反ですので注意です。

 ただし、相手がほぼ自社専属の下請けだったらどうでしょうか?少し労働法や税務の分野でグレーな処理ですが、社員やパートだとだと社会保険の処理など生じるので業務委託の形でお願いしているパターンなどがあるでしょう。出社や時間的拘束の義務はないとしても、このようなケースの場合、相手本人の意識はあまり「事業者」ではなく、確定申告しなければならない「勤め人」の意識が強いです

 この場合、相手側に適格請求書登録をしてほしいと言われてもチンプンカンプンです。しかも、消費税申告・納税義務が生じる上に手取がこの納税によって減るのはご本人にとって痛手でしょう。どうしたらよいでしょうか?

2.免税事業者の経過措置

 方法としてインボイス制度導入に伴う免税事業者への経過措置を使うということです。これで3年間は免税事業者からの請求書でも消費税の80%部分は仕入税額控除処理ができます。控除できないのは消費税の20%部分のみで、この部分だけ免税事業者に負担してもらうように依頼することで乗り切るという方法です。おおむね総額の2%程度の負担なので一応許容の範囲内かもしれません。ただし、これも一方的に免税事業者側に通告するのはダメできちんと協議することが肝要です

 しかし、これは先延ばしにしているだけ、この80%の特例は3年間で終わりです。結局最終的には適格請求書の登録はしてもらわねばならないとは思われますので、いろいろ時間をかけて少しずつ理解をしてもらうということでしょう。

 しかし。「2%部分を負担してもらう」といっても実は中身はかなり複雑です。計算方法見てみましょう。

3.80%控除を使う計算方法

 とりあえず、わかりやすく説明するために税抜処理の場合で考えてみます。免税事業者から1100円で購入して消費税の80%部分仕入税額控除をしたとするとおそらく仕入1020円と仮払消費税80円で80%の消費税だけ仕入税額処理をすることになると思います。

 一方、一回一回この処理をするのが面倒だとすると月末で一括処理することも考えられます。例えば同じ取引が10回あったとすると仮払消費税1000円でそのうち仕入税額控除できるのは800円なので200円部分を雑損失か何かで計上することになると思われます。

 ただ、ここで200円の消費税控除できない部分の負担を免税事業者にしてもらうためには、例えば仕入戻しとして200円もどしてもらう方法が考えられます。ところがまたここに消費税20円が生じるのですがこの20円そのまま仕入税額控除が減ってしまうのでしょうか?それとも80%部分の16円(20円x80%)でしょうか?(調べたのですがどちらが正しいのか現在わかりません)

・・・ということで今一つわけがわからない計算となりますし、消費税上小さな金額ですがマイナスにはなります。

 まとめると、免税事業者の方の顧客先には金銭上迷惑をかけないということは難しく、どうやってもかなり手間をかける事となります。ということで相手が消費税を納税しない消費者である場合を除き、免税事業者の方にはお客様のことを考えれば登録事業者になることを基本的にはお勧めするわけです。

 個人的には変な免税事業者への経過措置を入れたために事態をより複雑にしているような気がします。