皆さんも気をつけたい印紙と貼り忘れとファミリーマートの追徴
目次
1.ファミリーマートが印紙税の納付漏れ
日本経済新聞3月10日電子版に、「ファミリーマートが東京国税局の税務調査を受け、2021年6月までの数年間で印紙税計約1億3000万円の納付漏れを指摘されていたことが10日、関係者の話で分かった。フランチャイズチェーン(FC)加盟店との取引に関する文書に必要な収入印紙を貼っていなかったという。過怠税約1億5000万円が追徴されたとみられる。」のような記事が載っていました。
記事によると1通当たりの印紙は200円、ただし、ファミリーマートの加盟店との文書で数年にわたる60万通もの文書だったのでこんな高額になったようです。皆さんでもこういった文書を反復的に出している方は気を付けた方が良いと思います。
税務調査ですが印紙税だけの調査というのはなく、法人課税部門の方などが兼務しているケースが多いようです。私は印紙税の指摘されたことはないのですが同業者に聞くと、何もネタがないと契約書を見て1件、2件印紙貼り漏れを指摘して行く程度のものが多いようです。ただ、反復的な文書のケースは税務調査で1通印紙税漏れが発見されると同様の文書がたくあるわけですから芋づる式に指摘されこのファミリーマートのように高額になってしまいます。
罰金、いわゆる印紙税貼付漏れによる過怠税はよく漏れた金額の3倍と言われるますが、意図的などよほど悪質なケース以外は「印紙税不納付事実申出書」を提出して1.1倍の過怠税で終わります。ファミリーマートの場合も約1億3000万円の納付漏れの1.1倍で約1.5億円の過怠税となったといえ
るでしょう。
ところでこの印紙税が課される文書どんな文書でなぜファミリーマートは貼り忘れてしまったのでしょうか?
2.印紙を貼り忘れた理由
日本経済新聞によれば「売上額などに応じて各加盟店から受け取る金額が記されていた」などと記載されているのでいわゆる本部フィーに関する通知的なものではないかと思われます。あくまでも想像ですが本部から今月の本部フィーはXX円でしたというようなことを通知する文書ではないでしょうか。そうすると印紙税法の17号文書で売上代金以外の受取事実を証明する書類とみなされ、文書1枚につき200円の印紙が必要です。
一般的の方からすると印紙、必要なのは契約書と領収書くらいと思ってる方が多いです。したがって、このファミリーマートの件も単なる通知だから印紙税などは頭になかったのではないかと想像されます。少し大企業としては不用意ではありますが、気の毒な案件といってもよいでしょう。
この、印紙税他にも落とし穴はあります。実質的に契約書と同じ役割をする書類には課されるのです。例えば請負契約で細かい取引については契約書を作成せずに、注文書と注文請書でやり取りしている場合あります。この場合は注文請書に印紙が必要だったりします。税務はこのように経済実態をとらえて課税されるという仕組みなのです。
特に同じ文書を反復的に出している場合は、もしや印紙税がかかるのでは・・・と印紙税がかかる文書の一覧(国税庁HPにあります)見てみるといいかもしれません。あと、顧問税理士に聞くというのもあるのですが、実はそこは問題あります
3.印紙税対策
税理士、実は印紙税は専門ではないです。税理士試験の科目に印紙税はありません。しかも、税理士の業務範囲で税理法第2条により明確に印紙税は税理士の業務から除かれています。したがって、税務調査が入っても印紙税に関しては税務代理、平たく言うと税務調査の時に調査官と交渉などは法令的には出来ません。
私自身、自分で印紙税関係の本を読んだり、研修を受けたりはしていますが正直そのレベルです。印税だけの税務調査というのもないので経験した方も少ないのではないかと思われます。中にはかなり印紙税勉強されている先生もいらっしゃいますが、私のイメージ的に10人に1人もいないと思います。 印紙税、実は大抵の税理士も無くなってほしいと思っていて、印紙税の廃止の要請などは税理士会などが税務当局などに行っています。
しかし、この印紙税の一番の対策、電子化です。電子文書は印紙税は不要なのです。このファミリーマートのケースなどは単なる通知なのであるから電子でやれば良かっただけの話だと思います。一方、電子契約についはも私のお客様でも大きな会社はかなり導入が進んでいるようです。電子契約の場合はある程度規模が大きくないとただ、電子契約料金>印紙税になってしまうのである程度の規模が必要ですが、通知などの場合はe-mailでもPDF添付でも構わないと思われます。
世の中で電子化が進み、アナクロな印紙税などという仕組みせいぜい登記の時くらいになって実質的に死滅、そうなってほしいですね。