サブスクリプションモデルがインボイス制度で受けるインパクトとは?

目次

1.サブスクリプション(通称サブスク)とは

 来年の10月からインボイス制度が始まります。その中でわりと注意しなければならないことにサブスクにかかわる部分があります。ところでそもそもサブスクとは何でしょうか?

 このインボイス制度のお話では、商品やサービスの利用の部分に着目して定額課金をすることを言います。普通商品などは買ったら払ってしまって終わりですが、利用ということを考えると買った後利用するわけです。この利用期間に定期的に徴収していくわけです。厳密に言うとこの定義は違うという方もいらっしゃるとは思いますが、ここでは広く解釈して定額課金するもの、例えば家賃などもサブスクと解釈してください。

 ところでインボイス制度が導入されるとこの部分大きく変わると思われます。サブスクの場合、大抵毎月払いですが自動引き落としやカード請求などが多く、請求書を発行していないケースが多いです。こういったサブスクを受けている側、インボイス(適格請求書)がないと今後消費税の仕入税額控除ができなくなります(消費税の本則適用の場合)。したがって、現状のままの仕組みだと困ったことになるでしょう。

 一方サブスクを提供する方はどうでしょうか?サブスクの場合、オンラインサロンのように月会費3000円で5千人メンバーがいるといったケースも多いです。要するに細く長く大人数を対象に行うビジネスも多いです。このような場合、例えば毎月郵送でインボイスを送ったら事務コストが結構膨大になるでしょう。

どうしたらよいのでしょうか?

2.サブスクとインボイス制度

少しおさらいですがインボイスの記載事項は何か?というと以下です

1.相手先
2.自社名とその登録番号
3.取引年月日
4.本体価格(税率ごと)
5.消費税額(税率ごと)
6.取引内容

 もしサブスクについて契約書を作成していれば通常上記の1,4,5、6は記載していることが多いでしょう。2.については自社名に加えて登録番号を契約書の中に記載すればよいだけです

 そして取引年月日については、自動引き落としの場合は通帳、振込の場合は振込証を保管しておけば契約書と合わせ技でOKということは国税庁のQ&Aなどでも紹介されています

 まとめるとポイントは契約書に登録番号を記載してもらい、本体価格と消費税額をきちんと明記しておけば通常の契約書の形式でおおむね問題がないと思われます。契約書の形式をマイナーチェンジ
する、すでに結んだものは変更契約一回っ作ればいいわけです。

 ただ、オンラインサロンなどいちいち契約を結ばないものもあると思わます。これは、私の個人的見解で税務当局の見解ではないのでリスクはゼロではないので注意はしていただきたいですが、約款のような形できちんと契約書と同様の内容をHPなどで明記しておけばよいのではないかと思われます当然この約款と個別の取引がちゃんとヒモついていることが明確なことも大切です。

 ただ、インボイスセミナーなどを地方で行った場合よく聞かれるのがオンラインサロンとかではなく、小さな地主さんの家賃の問題です。家賃も広い意味でのサブスクですから。これはどうしたらよいでしょうか?

3.小さな地主問題

 地方の会社だと工場や店舗、駐車場などを個人の地主さんから借りているケースが多いです。こういった個人の地主さん、家賃収入だけの方も多く、そうすると年間収入が1000万ない、つまり免税事業者であるケースが多いです。

 大抵賃貸借契約はありますが、自動継続で何となく続いているケースがほとんど、こういった人が
インボイスを出せるのかという質問を良くいたきます。こういった方々、多分消費税の意識は買い物したとき消費税払っているなという程度の感覚しかないので「仕入税額控除出来なくて、困る」とか言っても?かもしれません

しかし、私のアドバイスとしては正攻法です。丁寧に消費税の仕組み、受取った消費税から支払った消費税を差し引いて払う(いわゆる仕入税額控除)仕組みを丁寧に説明するしかないでしょう。そのうえで適格請求書発行事業者になっていただくようにお願いをする事です

ただ、適格請求書登録事業者なりたくないとおっしゃられる地主さんに対しては税額控除できない消費税部分について値下げを要求すること自体は可能です。特にインボイス制度導入直後は80%部分は控除可能なので消費税の20%部分の値下げだけなので抵抗は少ないということもあります

一層免税事業者など失くしてインボイス制度を強制すれば良いのでしょうが、政治的な配慮等で出来ないのでしょう。そのためのひずみでいろいろとかえって問題が生じているような気はします