成長企業と一人社長の会社の内部留保はどう違う
目次
1.節税について普通の会社と一人社長会社の考え方の違い
私の考えですが、無駄な税金を払わない、これは大切です。一方、会社の成長のためには利益を出してキチンと税金を納めながらも内部留保を蓄えていくことが必要です。内部留保とは利益から税金を引いたもの、これが累積していったものです。この部分必ずしも現金で残っているとは限りませんが何かしら資産の形で会社に残っているはずです。
成長、投資が企業には必要でそのためにはお金が必要なのでそのために、会社にお金を残すわけです。銀行から資金を調達、当然使い道を見ます。ちゃんと内部留保を残しているかというのはポイントになります。当然ステージ的に余剰資金を成長のために様々な経費として使っているのは仕方がないです。しかしし、節税のためなどと資金が外部に流れているのは成長企業としては望ましくないです。ただし、この前提としてゴーイングコンサーン(継続企業)があります。会社が永続して成長し続けるためには内部留保は大切なのです。
一方、違うロジックで動いていると思われるのが一人社長の法人です。一人社長の法人、実質的には個人事業主と変わらないですが、法人としての対外的信用や節税目的などで設立しているケースが多いです。この場合、個人事業主に近いのでかなり自分が引退したら会社もたたむケースが多いです。そもそも「一人社長」なので継ぐ相手もふつうはいません。
そういった意味では継続企業と違い内部留保は多ければ多い方がいいわけではないです。ある程度定期的に大きな額の投資が必要な業態は別ですが、それ以外は銀行からお金を借りる必要もほぼなく、内部留保の必要性は低いです。それどころか逆に会社をたたむときに内部留保は困ることもあります。それを見ていきます
2.困る内部留保
法人にたまったお金を社長に戻すための方法はどのような方法があるでしょうか?基本的には会社を清算して余ったお金を100%の株主を持っている社長に送る方法になります。ただし、資本金の額を超える部分はみなし配当となり、会社は経費にならないですし、社長本人は課税されます。しかもこれは分離課税ではなく総合課税、つまり累進課税となってしまうのです。
たとえば内部留保マイナス資本金が4000万あると(所得が他になかったとしても)4000万x40%-2,796,000=13,204,000円の税金が概算ですが国税だけでかかってしまいます。加えて住民税が10%ですから概算で400万これに加わります。今までの内部留保は法人税を払った残りなのにそこにまた所得税が累進課税でかかる、ずいぶん理不尽な話です
そこで行うのが役員退職金で払う方法です。それを見ていきます
3.役員退職金で払えば解決か?
もし社長在勤20年で引退して役員退職金ではらったとすると課税所得は以下になります。
{4000万-(40万x20万)}÷2=1600万
退職所得は退職所得控除を引いたのち半分にしてくれるので所得は1600万としてくれるのです。
他に所得がなかったとすると
1600×33%-1,536,000=3,744,000円が国税の概算分です。住民税は10%で概算で160万です。約1000万以上も退職金が支払う税金は少なくて済みます。
ただし、な~んだ、全部退職金で払えば安心なのかというとそういった簡単な話ではないです。税務署も簡単には納得してくれません。過大役員退職金という落とし穴があります。役員退職金青天井というわけではなく過大な部分は法人は経費を否認され、このような退職金課税の特典はえれない可能性が高いです。
一般的な目安は最終報酬x勤続年数x功績倍率
一般的には功績倍率は3くらいまで大丈夫と言われています。不自然でない(例えば引退直前に大幅に報酬をあげるとか)限りは一人社長のレベルでは鉱石倍率3問題にならないのではないかと個人的見解ですが思われます。例えば最終報酬 50万で勤続20年だたっとしたら
50万x3x20年=3000万
役員報酬でまずまずあまり税務署ともめないラインとなります。
もし4000万を退職金としたら差し引き1000万は過大役員報酬として課税されるリスクがあります。したがって、場合によっては多少社長の報酬をあげて内部留保を減らしておくというのは考えた方が良いケースがあると思われます。成長企業ではさらなる成長の原資となる内部留保ですが、ほとんど個人商店の一人社長の法人だと頭の痛い問題になるわけです。