事業再構築補助金についてのざっくりとしたお話

目次

1.経営革新等支援機関と補助金

 実は私の会計事務所は経営革新等支援機関です。中小企業庁のサイトによると経営革新等支援機関(認定支援機関)とは、「中小企業・小規模事業者が安心して経営相談等が受けられるために、専門知識や、実務経験が一定レベル以上の者に対し、国が認定する公的な支援機関」です。

 国の補助金の申請の際に必ずこの認定支援機関の関与が必要なので補助金申請支援を行っいるて業者さんなどは積極的に取得しています。私の場合は、正直に申し上げると経営相談に強い会計事務所が看板なのでさすがに取得していないとまずいだろうというやや消極的な姿勢での取得です。今までこういった補助金、手続きが煩雑なうえ、審査があって本当に獲得できるか不確実そして実際に補助金を手にするまで1年くらいかかるといった内容でした。そういった意味では私の顧客層には当てはまらないといえました。

 ただ、今回の事業再構築補助金、手続きが面倒な点はたぶん一緒ですがそれ以外の点は少し改善され中小企業の通常枠でも6000万まで、かつ予算も1兆1千万を用意しておりかなり大盤振る舞いといえます。多分一番盛り上がっているはこういった補助金申請を支援する業者さんや士業さんたちです。経産省も2月15日にかなり詳しい内容を発表していますし、様々なこういった業者さんや士業さんが動画をはじめ、もうお腹いっぱいというくらい情報を提供されています。

 このようにもうすでにたくさんの詳細な情報がありますので、ここではとりあえずもう少し調べてみよう!やめとこうかなという判断の材料としてざっくりとしたポイントだけ話したいと思います。

2.事業再構築補助金を受けるためのざっくりとした要件

 まず対象者は中小企業(細かい定義はサイトを参照ですがたいていのご自身が中小企業だと思っている会社は対象となります)、申請直前の6か月のうちの任意の3か月の売上が、コロナ以前に比べ10%以上減少していることです。「連続した」という記載がないので3か月分どこか選んで10%以上売上げが減少していれば条件はクリアできるものと思われます。

 そして、大切なことは事業再構築をしたい 新分野に進出する、業態転換などなどこの機に事業を再構築したいという事業者向けだという事です。事業再構築というとかなり大げさなものをイメージしますが、以下のようなものが代表例としてあげられているくらいなのでさほど大それたものでなくてもよさそうです。「小売店舗による衣服販売業を営んでいたところ、コロナの影響で売上が減少したことを契機に店舗を縮小し、ネット販売事業やサブスクサービス事業に業態を転換」。このくらいのことすでに着手されてしまっている方は多いとは思いますが。

 まだ、細かい申請の方式は決まっていませんが、事業計画を事前に策定しておくことは必要でしょう。以下の点を押さえておけばまず補助金に申請する事業計画は書けると思います。

・いわゆるSWOT分析、またなぜ事業再構築が必要か
・事業再構築としてどんなことをやるのか?(そんな新製品・サービスを行うの?)
・3C(自社、顧客、競合)分析、課題とリスク
・実施の体制・スケジュール、資金調達の計画

 こういった事業計画を認定支援機関の支援を受けながら策定すれば基本的には申請可能です。ただし、いろいろとお役所のやることですから一筋縄ではいきません。残念ながら持続化給付金の例をみても少しでも簡便にすると不正をする輩が大量に出没するので仕方がない面も多々あるとは思います。

3.一筋縄ではいかない点

 まず、補助金申請はGビスIDプライムアカウントを取得して電子申請です。これは業者さんや士業さんの代理申請は認められないのでご自身で申請しないといけません。加えてこの取得に2~3週間かかるのでさっさと申請したほうがいいです。別に申請にお金もかかりませんし、私も試しにやりましたが入力は5分くらいで終わりました。

 また、「補助金」なので事業再構築でかかったお金の全額ではなく3分の2です(一部コロナ特別枠で4分の3まで補助率が上がる特例も
一部あります)。補助金の書類自体は認定支援機関がかなり手伝ってはくれます。ただし、当然普通は無料ではやってくれません。相場は 着手金5~10万で成功報酬は補助金承認額の10%~20%です。たまに成功報酬のみの業者さんいますがたいてい15%~20%請求となりやや成功報酬が高額になるのが通例です。

 これを簡単に言うと6000万投資して、補助率は3分の2だともらえるのは4000万、そのうち20%を業者さんに払うと手元に残るのは3200万と約半分です。このあたりは頭に入れておいてください。

 そして、採択されたら終わりではありません。その後報告をしなけれなばなりません。この請求書や支払いのデータを集めて報告するのがまたすごく面倒です。当然コンサルは基本的に「採択」を手伝うだけなのでこれ以降はほぼご自身でやらないといけません。

 そういった意味ではご自身の顧問税理士などが認定支援機関ならばこのあたりもお手伝いが比較的できますのでお勧めです。または、顧問税理士が認定支援機関でなくても顧問税理士を通じて紹介受けるとこの辺りも顧問税理士が手伝ってくれる(はず)ですのでお勧めでしょう。加えて補助金を受け取ってから5年間に当たって報告書の提出が必要なのでこういったことを考えると
認定支援機関の顧問税理士だとかなり気が楽かと思われます。

 なんだか随分後ろ向きな話になってしまいましたがユニークで素晴らしいと思った点もあります

4.ユニークだと思う点
  
 今回、私は補助金の最大の問題点がひとつ解決の方向に向かっていると思います。補助金は本来事業をどんどん開拓していたい、または抜本的な改善をはかりたいといった方を対象とすべきと私は思っています。

 しかし、なにせ時間がかかるので結局「補助金があるならば投資してみようかしら」といった層もかなり多かったといえ、むしろ補助金があろうとなかろうとと積極的に投資していこうといった層はむしろ敬遠していた傾向がありました。

 今回画期的なのは事前着手承認制度が出来たことです。これは補助金があろうとなかろうと事業再構築をするぞという事業者には朗報です。通常補助金は以下のようなプロセスをたどります
計画書類作成⇒申請⇒審査⇒採択⇒投資実行⇒報告⇒補助金実行

 なんやかんや採択まで半年程度かかりますし、かつ採択までに支出した場合対象になりません。事業再構築当然スピードも大切なはずです。今回事前着手申請ができ、採択前に支出した投資・費用も補助金の対象になりました、。採択前に事前着手申請をして承認されていれば正式採択後認められるのです。

 ただし、注意なのは事前着手承認は実際の補助金の採択とは(多分)全く関係がなく、承認されても採択されないケースもあります。ただし、補助金だよりでなくても事業再構築をしようと思っている方にもこの事業再構築補助金なかなか使えるものだと思われます

 もしご興味を持たれたらきちんと調べて検討してみたらと思います。いかが経産省のサイトです

https://www.meti.go.jp/covid-19/jigyo_saikoutiku/index.html