スキャナ保存 -紙の領収書や請求書はもう保存しなくていいの?

1.写メで領収書とればOK?

 コロナにより在宅勤務というのがだんだん日常になってきました。しかし、頑固に在宅勤務から遠い世界に経理業務があります。いろいろ原因はあると思うのですが、その根本原因は税務署の「紙保管主義」にあるような気がしてなりません。基本的に帳簿や領収書や請求書などの原始証憑は紙で保管することが求められます

 しかし、実は1998年か電子帳簿法が施行され電子データによる保存が認められ2005年の改正では書類をスキャンしたものも認められるようになりました(ただし、帳簿や決算書はNGです)。これも原稿台付きのスキャナのみ可能でありスマホの写メとか許されませんでした。その後どんどんと緩和され2016年にはスマホ写メも条件付き可能になるなどどんどん緩和がされてきました

 こういった傾向もありたまに「写メで領収書とっておけば領収書とか取っておかなくてよくなったんですよね」と聞かれる事が出てきました。確かに可能ではあるのですが、なかなか一筋縄ではいかない問題があります。ここではいわゆるスキャンによる領収書・請求書の保管がどうなるかについて私見も交えてお話しします

2.領収書・請求書の電子保管になる条件

 ざっくりと以下スキャナ保存の様々な条件説明します。ここではあくまで全貌がイメージできるような説明とします(細かい実務は国税庁から出ているQ&Aなどをちゃんと読み込まないといけないと思います)。

 まず、スキャナ保存後速やかに会計帳簿に入力することが求まれます。細かい話がありますが通常の月次決算(または週次決算)のサイクルにはきちんと載せて業務処理を行うということです。今、この電子帳簿法をにらんだ経費精算システム売り込んでいる企業がおおいので、そういったものの導入で大きく経費精算は効率化する可能性があります。そして会計ソフトも連動していたりするので一気に記帳までできてしまいます。

 経費精算などで営業マンなどには数か月平気で精算ためる豪のものがいますがそのようなことは許されなくなります。後述する3日以内の署名・写真スキャンとタイムスタンプが必要と思われるので少し几帳面でない方はしんどいでしょうね。

 加えて「適正事務処理要件」が求められます。3人が電子保管には関与しなければなりません。受領者(実際に領収書・請求書を受け取る人)と確認者(その領収書・請求書が真正であることを確認する人)、検査者(手続きが正しく行われているか全体的にチェックする人)の3人が必要です。

 当然この事務分掌については規程、細則等で定めておく必要があります。加えてスキャナ電子保存規程なども必要ですね。

 公認会計士的な視点で言うとこの程度の内部の牽制の仕組み当たり前のことで中堅レベル以上の企業であればこの程度の体制は確保しておくべきだと思います。この中堅レベル以上の企業であれば事務処理を効率化し、在宅勤務かも一部はかる良いチャンスではないかと思われます

3.小さな会社はスキャナ保存は導入できるか?

 しかし、いわゆる零細の部類に入る企業でこのような3人体制が組めるかというと不可能だと思われます。そこで中小企業基本法第2条5項に定める小規模事業者(常時使用する従業員の数が20人(商業サービスは5人以下など規定)は特例があります。検査する部分は顧問税理士等が行えばよいとされており、その内容もサンプルチェック程度でも差し支えないと書いてあるので顧問料をきちんと払っていればその範囲で可能なレベルと思われます

 また、受領者が請求書、領収書を受領後おおむね3営業日以内に署名(印鑑はNG)のうえタイムスタンプ押せば確認者のチェックは不要なので極端な話一人社長でも顧問税理士がいれば導入可能です

 ただ、現実的にこまめに写メ取ってタイムスタンプ押して・・・とやるような几帳面な方は私の知る限り見たことはないです。零細企業で、社長さんが非常に几帳面な方はお勧めですがそれ以外は、う~ん難しいなぁというのが実感です。

 でも几帳面な方はおそらくすごく経理処理は効率的になると思いますので挑戦する価値はあると思いますよ。