またまたやらかしそうなeL Tax(地方税システム)はデジタル庁創設で変わるか?
1.年初早々のトホホで残念なニュース
年初早々トホホなニュースがやって来ました。1月4日の税務通信に載っていたのですが給与支払報告署が1月末に集中した場合、eLtaxがシステム障害を起こす可能性があるというニュースです。そのため、総務省は早期の給与支払報告書の提出をお願いしているとのことです。以前からこのL-Tax処理能力が低くてデータを送ると落ちたりして本当に腹が立っていました。そもそもデジタル化をしろとか、税務署類の電子化の義務化といいつつ処理が追いつかないとは怒りを通り越して情けない感じがします。
この給与支払報告書は会社員の住民税計算のベースとなるものですが、そもそも住民税ははどうやって計算されているのでしょうか?少し説明します。給与支払報告書(ほぼ源泉徴収票と同じ)をそれぞれの市区町村に会社または委託を受けた顧問税理士が従業員分を提出します。提出は紙でも可能ですがが通常はeL Taxという地方税のシステムを使って送る形になります。この給与支払報告書を基に各自治体が税金を計算して5月くらいに住民税の通知が会社に来てこれをもとに会社は住民税を6月から天引き始めるといった仕組みです。この給与支払報告書の提出期限は1月末で企業や税理士は12月に年末調整を行うと、そそくさとこういっった報告書を提出しなくてはならないわけです
2.なんで住民税は遅い
よく考えると企業には1か月で提出などとやたら期限が厳しい(ただし、罰則はない)のに役所側は約3か月以上もかけて
計算とはずいぶん馬鹿にした話のような気もします。しかし、おそらくこれは個々の住民税課の職員が怠慢というよりも、あくまでも想像なのですがこのeL Tax の裏側がグズグズの仕組みになっているのではと想像します。
そもそもほぼすべての情報が電子化されていればそのデータが住民税の計算システムと連動している限り一瞬で住民税の計算できてしまうはずです。一応チェックするとしてもせいぜい1か月もあれば十分なはず、何かがおかしいです。
デジタル庁設置に向けてのデジタル社会の実現に向けた改革の基本方針(案)にこのような項目がありました。
「全国規模のクラウド移行に向けて、デジタル庁が、総務省と連携して、地方公共団体の情報システムの標準化・共通化に関する企画と総合調整を行い、政府全体の方針の策定と推進を担うほか、補助金の交付されるシステムについて統括・監理を行う。住民に関する事務に係る情報システムで、相互に連携が行われているシステム(住民基本台帳、地方税等)について、人的・財政的負担の軽減と、サービスの利便性向上を図る。」
要するにおそらくeL Taxと各自治体の住民税計算のシステムは連動していなくて、データのインプットやり直しなどあのコロナ給付金にあったようなトホホな状況があるのではと思われます
3.そもそも根本的な問題点
国税の所得税と住民税、国税は累進課税で住民税はほぼ一律10%という点で税率が違うのはやむを得ないでししょう。、しかし、国税と住民税で微妙に控除の金額が違っていたりして無駄に住民税の計算が複雑なのはいかがなものでしょうか?加えて、そもそもデータを送るだけのシステムに国税と地方税をわける意味が分からなりません。素人目には、ただ単に国税は国税庁、地方税は総務省という管轄の違いだけのために2重に手続きが必要な気がしてなりません。
さらにこの地方税のLtaxというシステム、犯罪ものといってもいいくらいポンコツな仕組みと個人的には思います。見た目自体20年前くらいのレトロな感じのシステムです。ITの専門ではないので的はずれかもしれませんがこんなシステムは一括廃棄して欲しいです。国税のE-Taxの方がかなりましです。
デジタル庁に頑張ってほしいのはeL TAX下で地方税の仕組みを統一するような「非効率な仕組みの下の効率化」ではなくeL-TAXの廃止とe-TAXへの一本化といった「全体としての効率化」で是非頑張ってほしいです。ほぼほとんどの企業の税務担当者と税理士が思っていることではないかと思われます