持続加給付金の支給が遅かった本当の理由 -審査担当者の告白
1.持続化給付金の問題点
持続化給付金、今までの救済策と比較して画期的に手続きもやさしめで迅速だと思っていました。政府、特に経産省はこの点では頑張っていらっしゃるなとは思っていたのです。しかし、現在様々な問題が起きています。
その一つはこの業務の外部委託が769億と巨額でしかも電通が支配していると思われる幽霊社団に丸投げされいるという問題です。このからくりについてはは以下のブログが本当に感嘆する調査能力で解明されいます。経産省と電通が組んで国の補助金を食い物にしている実態が具体的な証拠をあげて明らかにされています。私がくどくどと説明するよりこちらを見ていただいたほうが良いかと思われます。
https://note.com/tokyodistillery/n/n6564a5ecf2a3
もう一つは5月1日に申し込んだ方々が5月末になっても支給がされていないという問題です。初日に申し込んだ方というのは資金繰りが苦しい方が多く、こういった方々が積み残しになってしまうのは大きな問題です。TBSの報道特集などでも取り上げられ、確かにTwitterなどでも悲鳴のような投稿をみました。これについて、練馬区の区議会議員である辻誠心(つじせいしん)氏がこの持続化給付金の審査担当者とコンタクトをとり、その内部告発ともいえる内容をYou Tubeにアップしています。この「審査担当者」氏の発言をお聞きする限り非常に具体的で私はガセネタの類ではないと思いましたので以下の通りご紹介します。辻誠心氏のこういった地道な活動と審査担当者の勇気には敬意を表したいと思います。
https://www.youtube.com/watch?v=eGURiNg7a4w
ここではこの内容を簡単にまとめて解説していきたいと思いますが、内容の誤認に関する責任はすべて私にありますことをあらかじめ申し添えます。
2.持続化給付金積み残しの謎とその理由
審査担当者氏によると、そもそもこの混乱は不備部門のパンクから起きたそうです。新規をどんどん進める一方不備や特例と呼ばれる前年度の確定申告が入手できない申込者については、ほぼ放置だったそうです。ところが、19日から突然不備処理部隊が出来たそうです。その理由はTBSの報道特集での取材が入ったので慌てて作ったのではないかと話されていました。
もう一つは不備がいつになっても解消されないことです。これは、私のお客様の例でもあるのですがとにかく不備連絡の説明が非常に不親切でわかりにくい点です。いくつか例を挙げていました
例えば、白色申告の申込者なのに「青色申告上の必要書類がありません」と不備連絡が来ることがあり、受け取った方は全くわかりません。この理由は「売上減少月前年度売上高」という欄があるのですがこの欄を本当に前年度の月間売り上げを書いてしまうから起こります。白色申告の方は月間平均収入を書かなくてはならないのです。
白色申告で今年3月売上が15万で昨年3月が40万、そして昨年度売上が600万だったとします。つい売上減少月前年度売上高を40万と書いてしまいますが白色申告の場合は平均月額の50万を書かなくてはなりません。そうすると審査マニュアル上「青色申告の添付書類が足りない」と連絡することになっているのです。
(訂正:売上減少月前年度売上高51万と記載したら昨年平均50万より大きいためNG、ただし平均50万より小さければ審査は通してくれていたそうです。辻氏からコメントいただきました。ありがとうござました。)
もう一つは売上台帳の書き方が明確ではないケースで(支給明細、月謝・・・などと記載)売上かどうか明確でない場合だそうです。そもそも最初は「形式自由」と書かれたので皆さん自由に書いてきてしまいます。しかし、その場合の不備連絡は私のお客様のケースだと「売上台帳として認められない画像です」とだけ記載、どの点で認められないのか全く記載がないのでどうしたらよいか不明です。私のお客様の場合は私がお手伝いしますが、そういったアドバイザ―がいない方は、おそらく電話は全くつながらいので自己流で返信、その場合たいてい修正できていないので永遠の不備ループとなるわけです。
一方で1日に申し込んだ、特例申請でもない、しかし何の連絡もないまま入金無しというパターンがあります。このパターンについてはこの審査の方は明確には理由がわからないようでした。ただ、口座確認のプロセスがやはり行き詰っていたとおっしゃっていました。
考えられることとして口座の微妙な不一致というのはあります。全角と半角とか、あと想像されるのはウェブバンキングの場合紙の通帳と違い銀行コードなどが添付資料に載っていないケースがあります。このあたり添付資料を基に振込データを微修正している場合などの工程が大幅に滞留しているのではないでしょうか。
3.持続化給付金積み残し―根本原因
シートの構造。そもそもすべてを同じシートで入力するデザイン構造に問題があります。個人事業主の青色と白色、法人、特例分など選択して違う画面で入力しないと混乱が生じます。
この審査担当者氏の話から推測するとサポートセンターと審査の不備の連携フィードバックが出来ていないらしく審査の不備の問題点をキチンとサポートセンターで説明できていないようです。残念ながら業務の品質は良くないと思います
しかし、こういったオペレーションの稚拙さを超えた根本原因は何なのかと考えると、この仕事を行うミッションを持っていないという事でしょうか?これはあくまで推測ではありますが、TBSの取材が出るまで とにかく処理件数を稼ぐという事に重点がおかれ従って全く不備がないものはそこそこ迅速に処理が行われたといええます。逆に内容が不備な特例など少し処理が難しいものは放置、TBSの取材や国会でも騒がれ始めたので慌てて手を付けたという事ではないでしょうか?
29日経産省発表では130万件申込 75万件が支給 1兆円が支給済と件数と金額は稼げました。しかし、1日申請の18万件のうち、87%は振り込まれていると発表されましたが逆に言えば13%、約2万件程度が振り込まれていないということです。とにかく「数字ありき」で、先入先出の法則でやっていないことが明らかです。1日、2日に申し込んだ方、想像するにかなり資金繰りがひっ迫している方Twitterなどを見るとXX日までに振り込みが無ければ廃業ですとか自決ですとか悲痛なメッセージが並んでいます。
少なくともコロナという国難に対処し、資金繰りに困っている小規模事業者を救おうというミッションがあれば初日申請の人々を放置して見かけの処理金額を稼ぎ、マスコミが騒ぎ出してようやく慌てて動くなどということはないはずでしょう。おそらくTBSの報道特集がなければもっと多くの方々が放置となったでしょう。手っ取り早く実績を見せるためには不備なしをどんどん処理していけばよいはずですから。
一方現場の審査担当者氏はこのままではおかしいと内部告発をしてくれた訳です。ミッションなき役人や企業の目先の実績や数字を追う方針のために現場が苦しむという縮図です。正直、経産省と企業の癒着、そして見せかけだけの実績を追う政官財、劣化した日本の縮図を見るようで非常に残念です。
一方現場の誠実さというのをこの審査担当者氏からは感じました。だから、コールセンタ―などの窓口の方など現場の方に怒りをぶつけるのだけはやめてほしいと思う次第です。