見逃しがちなコロナ下で不確実なので大切な数字の見方

目次

1.不確実だから逆に数字は大切

 コロナ感染がいつ終わるともわからず不確実で先が見えない状況が続いていると感じている方は多いかと思われます。ただ、不確実なので何もわからないと途方に暮れていたら何もできません。不確実な状況下での数字なんて意味が無いと感じる方も多いかと思いますがそんな時だからこそ数字をうまく読んで使えること大切だと思います。

 一つ例をあげます、私のお客様の例なので多少中身は変えています。やはりコロナ下で売上が落ちて資金繰りが苦しくなったのでかなり高額をコロナ緊急融資で借りたいという相談を受けました。結果としてはかなり高額を無担保であったのに、約1週間で短時間の電話での事実確認で融資決定しました。

 ポイントはなぜ4000万必要かきちんと返せるか?のストーリーを数字できちんと示したからだと思っています。将来のことなんて見えないのにどうしてできるの?と不思議に思うかもしれません。過去のデータと仮説で生み立てれば良いのです。これを業界用語?で”quick &dirty”(素早いけど汚い)と言います。これはどういったことなのでしょうか?

2.Quick&Dirtyで数字を作ろう

 ますは、過去のトレンドに基づくデータが必要でこんなものを用意しました。
   ・月次の固定支出額(地代家賃、水道光熱通信費、給与など)と売上に対する変動費率
   ・現状の預金残高、
   ・月次は悪くてブレークイーブン、大抵黒字は確保している過去のデータ

 そして、仮説は以下です
   半年間現状(コロナ緊急事態宣言下)のような売上が続き、その半年後は弱い回復、1年後ほぼ元に戻るという感じです
   
 なぜその金額が必要かという説明では現預金流動性で説明し最低売上1か月分の現預金は必要で、現状その水準を割り込みそうだったということをストーリ―の開始としました。毎月のマイナス分は仮説より計算でき、1年分のマイナスを補填する金額を借入したいと主張する一方、過去のトレンドをみせ、コロナ前の業績でみれば十分返済は可能と説明する資料としました。

 私がこういった資料の用意に直接掛けた時間30分強程度です。数字、仮説ともざっくりとしたモノにすぎませんが、こういったQuick&Dirty(多少汚くても素早い)数字を算出して素早く行動するという事はこの不確実な時代に大切なのではないかと思います。

 よく将来は不確実なので数字なんか出せない、もっと調査しないとダメという人がいます。こういう人はいつまでもデータ集めて気が付けば1年くらいたっています。お役所や古びた大企業などは極端にこういったケースが多いです。当然案件によっては詳細なリサーチ・分析ををしないとダメなケースも少なからずありますが、中小企業だと、Quick & Dirty、ある程度仮定計算で小さくやっていって進めていく中で仮定の粗さや誤りがあったら直していくいった方向が望ましいと思います。・・というかお役所や大企業のようにデータ集めをのんびりやっていたらつぶれてしまいます。

 そもそも本当は経営者、経営陣、情報が少ない中で素早く判断していく事に価値があり誰が見てもわかる方向に進めるだけでしたら誰でもその役割はできます。Quick & Dirtyで数字を使って素早く行動すること、こういった時代は大切なのではないでしょうか。

 もう一つ大切な考え方として業界用語”apple to apple”をあげます。

 

3.Apple to Appleとは

”Apple to Apple”物事をとは物事を比較するときは常に同じ状態にして比較しないと意味がないという事です。違うものどおしを比べることは”Apple To Orange”とか言います。そんなの当たり前と思いますが結構世の中でできていないケースあります

 東京都のコロナの陽性者数増えていると大騒ぎになっていいます。緊急事態宣言を出した4月より状況悪くなって連日陽性者200越えが続いているのにいるのになぜ緊急事態宣言出さないいう声も聞かれます。本当でしょうか?

 でもそれ自体すでにApple to Orangeです。4月初旬はまだまだ検査が進まない状況、一日300人程度の検査です。そこで100人を超える陽性者が出ていたので緊急事態宣言となりました。現状の7月の終わりごろで検査数は一日4000人近くで、その中で200人を超える陽性者が出ています。そもそも検査の母数が違うところで、その数字だけをもって騒ぐのはおかしいです。
少なくともそのデータだけで4月の時点より悪化しているという見方は正しいとは言えないです。

 もう少し、身近な例だとわかりやすい、激安サービスだとおもってとびつくと、でも実際に本当に欲しいサービスはすべてオプションで結局高くつくということ体験したことはないでしょうか?

 たとえば、税理士の世界で私はたまに同業者に対する愚痴を知人などから聞きます。こういう人は決算申告料だけぽっきりXX円でで安いと頼む人です。開業したてでお客もなくあまり忙しくない、だいたいは自分で記帳やって少し不安なので申告だけ安い値段でお願いする、これは悪い選択ではないではないと思います。

 でも忙しくなってきて、記帳を頼めばプラスXX円、アドバイスを頼めばプラスXX円、消費税を納付する世になったらプラスX円とドンドン高くなってきます。それに対して愚痴をいうのですが、別にきちんとこういったっ税理士の方、料金表も出していますし、別に非難されるようなことではないと思います。きちんと同じ条件(Apple to Apple)で見ていかず、目先の値段で飛びつくとこういったことになります。

 ちなみに、私の事務所の税理士業務については気に入ってくれた方とこじんまりとやっていくでかまわないと思っているので
別に安さは一切強調していませんのでこういった方が飛びつくことはまずないです(笑)。

 さて、不確実な時代、むしろちゃんと数字については素早くかつ適度な正確性をもって見て使うことが大切になると思います。なんとなくイメージつかんでいただければ幸いです。