東芝の内部統制報告書訂正へ -2つの大きな問題点
東芝が過去の内部統制報告書を「内部統制が有効である」という判断を取り消すようです。以前にも財務数値に大きな影響を与える数値について、事業部の裁量が多く他部署のチェックが働かないというのは基本的な内部統制の体制が不備であるとの指摘をしておりました。また、内部統制報告書について適正意見を出した監査法人の責任も小さくはないと指摘しました。これはバイアスのかかった意見かもしれませんが、内部統制報告の監査手続きはやたらと印鑑(サイン)の有無など細かい形式的なチェックが多く、一方で本質的なコントロールの部分についてのチェックが少ない気がしておりました。形式主義にかなり偏った監査手続きという感じが内部統制監査に何社か同席した企業側のコンサルタントとして感じたことです。
もう一つの問題点はこの事件が証券取引等監視委員会への内部通報で発覚したということです。実は内部統制の重要な要素として内部通報制度があります。仕組みとして内部通報が行いやすいような窓口を整えるということです。もし、内部通報を握りつぶしたのであればかなり大きな内部統制上の欠陥と言えるかもしれません。このあたりの動向は今後も注目していきたいと思います。