東芝不適切会計についてーもし記事が本当だったら
今朝の日本経済新聞で東芝の不適切会計で「本社の経理部門は受注時の総原価の見積もりは関与するが、工事が始まってからの見直しはほぼ事業部門の裁量に任されていた」と載っていました。
私は当然東芝レベルの会社なので何かしら事業部門が見直し後の数字を工作して本社部門がわからないように巧みに細工したと思っていました。しかし、この記事が本当ならば東芝の内部統制報告書の3点セットのリスクコントロールマトリックスがどのように記載されているかが興味があります。工事売上の計上であれば「売上」に関係して「見積もり」が介在してかつ金額も修正金額で500億程度あるということであればきわめてリスクが高い分野でそのリスクについてどのようにコントロールしているかきちんと記述して監査法人はその通りのコントロールが働いているかテストをしているはずです。
当然この工事売上げに関して「事業部門の裁量でやっている・・・」旨の記述ならばまず監査法人は承認しません。多分記述は、たとえば「事業部門の見積もりについては経理部門がXXの手続きでその妥当性を検証している」等の記載がされているはずで、その際、監査法人はきちんと経理が検証しているかチェックしているはずです。
考えられることは3つですが記事が本当であれば1)でしょう。1)監査法人の日本版SOXの監査がずさんで見落としていた2)本社の経理もかかわり会社ぐるみで偽装工作をしていた3)現場が巧みに偽装し監査法人・本社を欺いたかです。1)の場合は監査法人の落ち度はかなりあり監査法人に対する訴訟も考えられます。2)の場合はかなり悪質な粉飾ですから上場廃止も考えられます。3)のケースは社長の引責辞任等は逃れられないと思いますが基本的には現場の責任に収めることが可能です。事実はともかく会社としては1)か3)に収めたいでしょうが記事からすると1)かもですね。
東芝、不適切会計で管理体制見直し 個別工事の採算報告
2015/5/21付
日本経済新聞 朝刊
東芝は不適切会計問題を受け、個別のインフラ関連工事の利益見通しを現場が経営陣に報告するよう管理体制を見直した。工事の採算性より受注を優先しがちな事業部門の意向が問題を招いたとみられるためだ。社外のメンバーで構成する第三者委員会は近く調査を始める。調査対象がどこまで広がり、計500億円強としている営業損益の減額修正が膨らむかが今後の焦点となる。