LIXILで海外子会社破産 -日本企業は海外子会社をどう管理すべきか

LIXIL

LIXILの中国の孫会社で不正経理があり大きな損失が発生する可能性があるとニュースになっていました。経緯としては支払いが滞っているという連絡があったため調査したところ粉飾と多額の損失があることが判明したようです。

 

社長の藤森さんはGE出身でちょうど私が米国にいたころGEプラスチックの社長に就任された経歴の方です。ただ、GEプラスチックはマサチューセッツ州ピッツフィールドというGEグループの中からずいぶん離れたところあったのでお会いする機会はありませんでした。

藤森さんはGEの出身者として買収先の管理についてはプロ中のプロなので非常に意外な気がしました。GEだけでなく欧米系のグローバル企業は強力な内部監査チームを持っています。私の日本企業の内部監査チームの印象は出世コースを少し外れた方か公認会計士資格等を持つ外部から採用した専門家のみが所属しているイメージがあります。したがって、人数も少なく権限も弱いケースが多いです。

一方欧米系グローバル企業ではエリートコースの一環で内部監査チームは世界中の子会社を巡回して強い権限で財務的な不正調査だけでなく、内部統制や経営の効率性などにも踏み込んでいきます。外部監査は権限も一定の範囲にとどまってかつある程度監査プロセスも決まっており、一般的な会計操作には強いですが、組織的計画的不正にはやや弱い面があるのは否めません。その点内部監査は現地法人の社長並みかそれ以上の権限を持たされているので手続きもかなり自由にやれますし、強制的に資料の提出も要求できます。特に不正抑止という面では外部監査より相当強いといえます。中には勘違いしてエリート風を吹かせる傲慢な監査人もいて、自分も内部監査人と大ゲンカして有名になったことがありました。しかし優秀な人も多く、内部監査が来るのは嫌でしたが自分も学ぶことがあったと思います。

世界各地をまわり現地のビジネスを素早く理解してマネージメント層に様々な提言を行うことを内部監査チームは求められますので、きわめてタフなしごとです。ですから、若手エリート育成には非常に有効と思われます。当然英語で交渉になりますから下手な語学留学より全然英語力もアップします。

日本企業も、「チェックリストをもって毎年きまった手続きと質問をして、現地のおいしいものを食べて帰るかつては出世コースにのっていたおじさんたち」ではなく、「若手育成の登竜門」として内部監査チームを組織して、財務面に関しては厳しく海外子会社を管理してはいかがでしょうか?

 

 

 

 

LIXIL、独子会社が破産手続き申し立て検討–株式価値で250億円損失の可能性

マイナビニュース 5月21日(木)15時51分配信

LIXILは21日、ドイツの現地子会社Joyou(ジョウユウ)が破産手続きの申し立てを検討していると発表した。Joyouが破産した場合は、株式価値で約250億円の損失が発生する可能性があるという。

Joyouは20日(ドイツ現地時間)、現地法令に基づく損失の発生の通知および第1四半期の財務報告の公表延期の決定を公表し、その中で、執行役会が現在実施中の調査の状況に基づき、執行役会が破産手続開始の申立義務を負うかについて現在検討していると発表した。

LIXILの発表によると、Joyouの子会社で実施している特別監査の結果、売上、負債および利用可能な現金の額が、2014年度のJoyouの財務報告にて報告された各金額から、大きく乖離していることが判明。このため、Joyouの2014年度の財務報告における純資産、財政状態および利益の状況についても、過度に良く見せられていた可能性があるという。 LIXILは、GROHE Group(グローエ)を通じてJoyou株式を間接的に所有しており、Joyouが破産手続き開始を申し立てた場合、株式価値で約250億円、債務保証で最大約160億円の損失が発生する可能性がある。同社はJoyouの決定に関して、2016年3月期決算への影響を精査中で、決算発表日は決定次第、速やかに公表するとしている。なお、定時株主総会は予定通り6月下旬に開催する予定だ。