地権者2億円追徴課税

さて、今朝の記事で名古屋国税局が矢作建設工業開発の土地の元地権者約30人が矢作建設保有の土地と交換した際の譲渡所得を申告しなかったとして、追徴課税したというものがありました。yahagi

土地を交換して取得した場合、いったん売却して購入したとみなすので、もし土地に含み益があった場合その利益に対し課税されます。しかし、1年以上保有、ほぼ等価交換であることなど一定の条件のもとに課税しない特例(所得税法58条参照)があります。しかし、このケースの場合除外条件である「交換のために取得したと認められるものを除く」に該当し、名古屋国税局にほぼ芋づる式に追徴課税されました。税務局としては「美味しい案件」だったに違いありません。

以下矢作建設側は「地権者には課税させる可能性がある旨書面で伝えていた」とありますが、地権者側には矢作建設側が「交換のために取得した」か否か判断する材料がありません。どの程度丁寧に説明したか不明ですが30人もの方々が土地交換としての申告をされていたということは説明が不親切であったような気がします。ただ、自分が地権者の担当税理士だったら58条の適用はかなりためらう気がします。相手が不動産系の会社だった場合、普通に考えて所有する土地は「交換のために取得」でなくとも「販売用の棚卸資産」である可能性は高いだろうと思うからです(適用は棚卸資産にはありません)。地権者の方にはお気の毒な感じがしますが、この案件に関しては国税局が苛斂誅求というよりも企業側が不親切であった(落ち度があったとまでは不明ですが)感が強いです。

土地交換」申告漏れ12億円=開発用地の地権者30人―名古屋国税局(時事通信)

東証1部上場のゼネコン「矢作建設工業」(名古屋市東区)が同市で手掛けた開発事業をめぐり、土地の交換に応じた地権者約30人に総額約12億円の譲渡所得の申告漏れがあったことが19日、関係者の話で分かった。土地を売却した他の地権者にも申告ミスが見つかり、名古屋国税局は計約2億円を追徴課税した。多くは修正申告を済ませたという。
関係者によると、問題となったのは、同社が2012~13年に名古屋市中川区で商業施設や住宅を建設した土地開発。区画整理のため、同社は11年、一部地権者から土地を取得し、開発区域内に用意した別の土地を代わりに提供した。
地権者同士が所有地を交換した場合、通常の売買と違い課税が免除される特例があるが、国税局は今回の取引が適用条件を満たさず、売買に当たると判断。税務調査で数人に申告漏れを指摘し、他の地権者には自主的な申告を促したもようだ。
矢作建設工業経営企画部は取材に対し、「土地交換は不動産業者に委託した。地権者には、課税される可能性がある旨を書面で伝えていた」と説明した。