たまにはBS(貸借対照表)見てみましょう
目次
1.経営診断
最近たまに地方自治体などから経営診断を頼まれることがあります。多いパターンは指定管理者の入札の際の経営診断です。当然個別の事例についてはお話しできないですが、診断相手の企業もPL(損益計算書)は気にしていると思われ、極端に多額の赤字で、かつ何年も続いているといった企業はありません。そもそもの応募要件から赤字企業(一時的を除く)は外されているのかもしれません。
しかし、一方BS(貸借対照表)について無頓着な会社が多いような気がします。せいぜい気にするポイントとしては債務超過(資産から負債を引くとマイナス)くらいでしょうか。一般の中小企業の方も経営成績を示す損益計算書は気にしても貸借対照表は気にしない、税理士や経理担当に任せてほとんど見ない経営者の方も多いのではないでしょうか?
ただ、やはりいろいろと経営診断をする側から見ると貸借対照表の無頓着さは気にかかります。貸借対照表は財政状態を表しますから、実はその時点の財務的な問題点をいろいろ教えてくれます。このあたりに無頓着だと健康診断でメタボになるのに気づかないような状況です。。大企業や公的機関との取引や資金調達の時、内容が悪いと実はいろいろと不利になります。私も経営診断をした際、BSの問題で何社か非常に厳しい評価を付けた会社もあります。ここではこんな貸借対照表はまずいよと言う話をします。
2.汚い貸借対象表
雑勘定が多額、聞かれても何が入っているか答えられないというのは望ましくないです。雑勘定として代表的なものは仮払金とか前払金など「名前を聞いただけでは内容がわからない勘定科目」です。勘定科目としてとしてもちゃんと名前がついている、例えば機械装置などはすぐ内容が想像できす。仮払金や前払金などは少なくともお金を払って出ていっているので普通は何に対する支出なのか明確なはずです。少額またはちゃんと内訳があって内容がわかっていてかつ妥当であれば特に問題はないですが多額でかつ内容がよくわからないと問題です。使途不明金か本来経費であるおのををごまかして計上しているのではないかと疑いをもたれ、心証は非常に良くないです。銀行などは真っ先に見る部分です。
もうひとつは根拠がない資産です。一つ開発費を例にあげます。顧問税理士が赤字逃れのために変な指導をするのか、多額の出費を適当に安易に資産に載せてしまうケースです。本当に開発費で新製品の開発などであればその詳細な内訳があるはずです。ただ、これもよほどゆるい銀行員や経営診断員でない限りまず見逃しません。
3.負債が多い
借入金が会社の規模に対して極端に多いというのもまずいです。ただこれは業種により製造業など定期的に設備に投資が必要な業種や代金の受取までの
期間が長い建設業などは借入金多くなりがちです。ただ、借入金>売上だと収入(売上げ等)から支出を引いた残りから返済するわけだから年間売り上げを上回るような借入金あれば、返せなさそうと思うのは自然でしょう。
ざっくり借入金総額を今の税引後利益に減価償却費を足した合計で割ればざっくりとした返済年数でます。長くても10年以内には収めたいものです。ただし、開業したばかりとか、勝負に出て思い切った投資をしたとかの場合はある程度一時的に大きくなっているだけですから少し様子を見るという形になるでしょう
4.バランスが悪い
資産と負債のバランスが悪いのも問題です。結構気にするのが流動比率で流動資産÷流動負債です。流動資産<流動負債だと100%未満に数字がなりますので一般的には危険信号です。なぜなら両方ともすぐお金に変えらるはっずのモノがそこに載っているはずです。負債の方を「ではすぐ返して下さい」といわれたら手元の資産では返せない。これはまずいでしょう。
気和得て資産と負債のバランスで固定資産のバランスも大事です。固定長期適合率といいますが固定資産÷(資本+長期借入金)で求めますが100%未満、つまり固定資産>資本+長期借入金だとまずいです。固定資産はすぐお金になるわけではないですから内部留保や長期の借入金で手当てしておかないと不安定な状況になります
もう一つはもう少し細かい中身の話です。多額の売掛金(未収金)や在庫は気になる項目です。売掛金や在庫は月商の何か月分かはみんな見ます。
回収サイト以上に大きかったら不良債権や不良在庫を疑われます。例えば売掛金は末締め末払いであればどんなに大きくても売上の2か月分程度です。これが5~6か月もあれば大口の焦げ付き先があるか売上自体が水増しです。従業員による集金の着服など不正の可能性もあるのであなた自身も気にすべきです。
本当は年齢表とか作っておくとよいです。つまり売掛金だと顧客先ごと在庫だと商品種別ごとなどいつから何か月くらい在庫や売掛になっているかがわかる表です。これがあると、不良債権や不良在庫の防止になります
5.うすい
資本の部(純資産)が小さいというのは安定感がありません。これは自己資本比率=純資産÷総資産でみます。資本が大きいと安定感あります。やはり老舗などは過去からの利益が積みあがり、このあたりが分厚いので安定感があります。ただ、業歴の浅い会社は一般的には資本も投下されていないでしょうし、利益も蓄積されていないのである程度低くても仕方ないです。
みなさん損益計算書はある程度見るのですが貸借対照表はあまり見ることはないかもしれません。ただ、年1~2回、特に決算の時などは自社の健康診断のつもりで貸借対照表も見てください