年末調整電子化でどれだけ便利になる?

目次

1.一番親切なお役所はどこ?

  実は私が苦手な場所としてお役所があります。どうしても書類を持っていくと細かいミスを指摘されて、「はいやり直し。また作り直して窓口まできてね・・・」みたいな経験を何回もやって苦手意識があります。お役所の文書はむずかしくてよくわからないし、「利便性が向上してIT化が進みました」といっても中途半端なセキュリティの厳しさもあってなかなか目的を達成するのは大変です。

 その中で実は税務署というのが一番親切ではないかと思うことがあります。一般的には税務署は怖いイメージありますが、窓口にコワモテの人などはおらず非常に丁寧です。また。国税のE-Taxは公共機関のシステムとしては画期的に使いやすいです(ただし、地方税のL-Taxは頻繁に使えなくなったり使いにくさ、わかりにくさは許せないです)。まぁ、ITなのに24時間化がいまだにできないなど腹立たしい部分もありますが。

 これはおそらくほとんどのお役所が「市民にXXしてあげる。許可する。そのため書類を徴求する」といった関係であるのに対し、税務署は「申告書を出してもらう。税金を払ってもらう」といったどちらかというと市民に「XXしてもらう」といった性質のお役所だというのがあるとは思います。したがって、わりといかに利便性を高めるかという点ではお役所の中では比較的市民の立場に立って考えていると思います。

 その税務当局が令和2年度から年末調整の電子化にかじを切っています。個人的には「年末調整」税理士業務でわりと嫌いで12月が来ると仕事的にはブルーになるのでありがたく思っており、うまく導入をしていこうと思っています。

2.電子化前の年末調整の問題点

 少し今までの一般的な年末調整の手続き復習してみましょう

① 従業員が保険料控除や住宅ローン控除の書類等を紙で入手
② これを保険料控除や住宅ローン控除の書類に転記、添付書類とともに会社に提出
⓷ 配偶者控除の申告書とともに上記の書類を会社に提出
④ 会社(または税理士)は年末調整ソフトなどで計算

 会社は従業員から年末調整の書類と保険料控除証明書などの書類をもらって保管しなければなりません。また、書類の記載ですが間違っていることも多いです。そして、もらった書類を元に給与計算ソフトい入力して年末調整を行うかと思われます。「従業員の記入」「記入のチェック」「システムの入力」とおおよそ3つの作業が出てくるでしょう。また、いろいろな資料の保管義務(通常7年)なので結構場所も馬鹿になりません。手間と労力がやたらとかかっているのではないでしょうか?

3.年末調整電子化でどう変わる?

 おそらく電子化で、従業員側ですべてシステムにアクセスして入力してもらう形で完結して、紙の動きはほぼなくなるはないでしょうか。想定する流れ以下想像してみました。

① 配偶者・扶養者等の情報は前年の年末調整の際入力、年末調整の際に変化がないかの確認をしてもらう
② 保険料控除等の書類は従業員にマイナポータル経由または保険会社等のウェブサイトにアクセスしてもらいインポート

⓷システム上で完成したデータを人事部等に送付
④給与計算システムに取り込んで(または自動連動)で給与計算終了

 クラウドソフトなどで従業員に必要事項を入力してもらっている会社はおそらくインプットミスや出力して押印、添付資料を入手…っといた手間がなくなると思われます。今まではシステム化しても紙の打ち出しや保管といった事務があり事務効率悪かったのですがようやくこれが解消されるのではないでしょうか?

 必要なことは2つ、民間のソフトを導入するか国税のシステムを利用するかが一つと、もう一つは所轄税務署長に、「源泉徴収に関する申告書に記載すべき事項の電磁的方法による提供の承認申請書」を提出し、その承認を受ける必要があります。提出時期は特に定めがないのでこれはソフトなどの導入準備完了の後でよいのではないかと思われます。

4.マイナポータルの利用

 内閣府によれば「マイナポータルは、政府が運営するオンラインサービスです。子育てや介護をはじめとする行政手続がワンストップでできたり、行政機関からのお知らせを確認できたりします。」とのことです。マイナポータルはマイナンバーカードの機能強化としての取り組みですが、いまだにマイナンバーカードはメリットははっきりしない、お役所まで取りに行かなくてはならない・・などでまだ普及率は12.8%(2019年3月)というとほほな状況です。

 今回保険料控除等書類が一括してマイナポータルで一括で入手できるということなので少しどれだけ便利になるか調べてみました。そのためには以下の手続きが必要なようです

①マイナンバーカードを入手

②カードリーダー購入(またはマイナンバ―対応のスマホを購入)

⓷マイナポータルにアクセスして利用者登録をおこなう

④マイナポータルの中の民間送達サービスのアカウントを登録

⑤保険会社のウェブサイトで民間送達サービスの登録

保険料控除送ってもらうために3つアカウント登録です。しかもいくつか保険会社分かれていればもっと増えます。しかも令和2年10月以降順次できるようになるとのこと。一応税理士なので実際に自分で少しはやってみようとは思いますが、そうでなければこんな面倒なこと絶対やりません。ただ、もし実はすごく簡単で便利だったら皆さんにご紹介しまね。