RPAで介護事業所の働き方改革はできるか?
1.介護事務所の人手不足
みなさん介護という仕事自体大変なこと、そして現場では人手不足状態が続いているということはなんとなくニュースや新聞などで見聞きしていると思います。特別養護老人ホームだと通常少なくとも半数以上は認知症のお年寄り、通いのデイサービスでも認知症や介護度の高い方は多いです。人手不足な中、すごくお世話なども大変で神経を使うお仕事ですが、実は大変なのはそれでけではありません
それ以外にも私のような社会福祉法人の会計監査人や役員をやっている人間から見て、書類仕事がとにかく大変なように見えます。介護保険の請求のために様々な書類の提出が必要、しかも残念ながら極めて紙の世界です。少しディサービスを例にみてみましょう。
細かい部分省略しざっくりとお話ししますが、居宅介護支援事業者(ようするにケアマネジャーを管理する会社、以後ケアマネ)が介護のためのケアプランをつくり、サービス提供票に記載し介護事業者(例えばディケアセンター、以後ディケア等)がそれに従ってサービスします。介護保険の請求ではデイケア等側が実際行ったサービスに従って国民健康保険連合会(国保)に請求し、国保側はケアマネ側が同じく提出したケアプランを記載したもの(給付管理票)と照合します。
これは以前ディケア等側でサービスの水増しなどが行われたため、こういった処置がとられていると聞いたことがあります。ここで、やっかいなのはほとんどケアマネのプラン通りにいかないことです。なぜなら要介護者側の体調によって中止や変更が普通に起こるはざらでプランがそのまま実行されることはほとんどありません。
そこでどんなことが必要かというと、ケアプランを手書きで直してFAXでケアマネに戻してそれぞれ介護報酬請求システムに入力します。
月末に大量のFAXが行きかい、請求は大忙しです。そして間違えによる国保からの差戻やその調査で現場は大変です。どうかんがえてもIT化すべきとは思うのですが、ケアマネとディサービス等は違う法人であることも多くで単純なIT化は結構難しいです。
これは一つの例ですが紙でもらってシステムにインプット、そしてインプットが正しいかの照合といった作業は非常に多い気がします。こういった単純インプット+照合のような作業はRPAをからめると劇的に時間は短縮されると思われます。ところでRPA(ロボテックプロセスオートメーション)とは何でしょうか?
2.RPA(ロボットを使ったプロセスの自動化)
多少乱暴かも知らませんが、ざっくりRPAとは何ですかといわれたらエクセルのマクロみたいなものと答えています。ただ、エクセルのマクロは当然エクセルのシートの中でしか動きませんが、RPAの場合、パソコンに様々なシステムやウェブにアクセスして情報を取ってきて(インポート)、自動的に入力して他のシステムに送る(エクスポート)するといった広範囲にわたる業務を自動的に行うことが可能です。
そして、マクロでもプログラミングは必要ですが、基本的にはプログラミングが不要(多少このシステム会社のうたい文句には違和感がありますが)で比較的安価で自動化ができます。実際には多少設定にはトレーニングと習熟が必要だとは思われます。そして、簡単に言うと汎用に販売しているロボット(平たく言うとシステムと思いますが)にやり方を覚えさせるだけなので、一般的なERPなどの基幹システムの導入よりも圧倒的に安価です。
実は先日あずさ監査法人のOB会でRPAのセミナーに参加し、RPAコンサルの最先端で働かれている方のお話聞けました。そのお話しだとRPAの現場で生じているとといえば、初期導入でのパイロトテストは大抵成功、便利だねとなるのですが・・・。ところが全社的に広げるところでとん挫することが多いようです。
いろいろとセミナーでは原因が挙がっていましたが、私は経営陣のリーダーシップと理解の欠如、RPA導入だとラッパだけならして、ITに丸投げして後はよろしく効率化してね・・・のようなことで大抵うまくいきません。基本的にRPAは現場の作業の見直しを全社的にやるということですから、当然ミクロ(個々のプロセスの効率化)とマクロ(全体最適・効率、全般的リスク管理)の視点とその調整が必要です。ここに経営陣の一定の理解と関与が必要なのはずですがこのあたり率先して行う上層部のリーダー、日本企業は非常に少ないみたいです。
さて、一般企業はこんな感じですが介護の現場はどうでしょうか?
3.介護の現場で
別にこれは十分介護組織(社会福祉法人等)のマネージメントも十分わかっていることですが、拠点の現場においては被介護者に対するサービスの時間がとても大切です。事務仕事・書類仕事は本来減らすべきで、ただでさえ、介護の現場は人手不足で疲弊しています。そして、比較的拠点でプロセスは完結するサービス業で職員の方は全般的に人と接するのが好きでホスピタリティが高い方、一方そもそも事務作業が好きも得意でもない、パソコン作業なども好きな人は少ない、そういった職種だと思われます。
こういった意味で人手不足を解消し、働き方改革を推進する比較的安価なRPAの導入は有効な手段のひとつと思われます。ただ、政府が考えがちなのは補助金(または助成金)です。公的な分野には必ず補助金が出るのですが、その結果集まるのは補助金目当ての業者、たいてい補助金部分だけ導入費用が高くなるだけ・・のような悲しい結果になりがちです
そもそも介護施設におけるサービスの提供の仕方は個性があってもいいとは思うのですが介護保険の請求プロセスなど極端な話日本中どこも一緒でも構わないと思われます。すると、RPAとしても同じようなもの作ればいいはずなので、わりとい安く汎用的なものが提供できるのではないかと思っています。すると、工数もかからないので業者もぼろもうけはしなくとも正当なマージン取れるような気がします。
私もRPAの構築ができる人間何人か知ってはいるので、ニーズがあれば特に社会福祉法人の介護事務所などを中心に導入サポートなどできればいいなぁなどと考えています。この件お問い合わせは以下まで