小さな会社の社長が気をつけたい源泉徴収の超基本

 

    目次

    1.源泉徴収とは

 

 給与、報酬、利息、使用料などの支払側が相手側に支払う前に所得税等を差し引き、その部分を税務署等に納付する仕組みです。ざっくばらんに言うと給与についてはサラリーマンやパートの人たちがみな確定申告をしたら税務署の人たちあまりに大変です。そのため天引きするのが給与の確定申告です。報酬、いわゆる個人事業主への支払いについては、とりっぱぐれがないように税務署で前もって税金分押さえておこうということだと想像します。小さな個人事業主でこういう制度でもないと進行しないでポケットに入れても税務署としてはいちいち調べていられません。
 ただ、この源泉徴収の制度、事業を行う人、いわゆる小さな会社の社長さんが気を付けることとしては、この責任は支払う側にあるということです。個人事業主への報酬、相手が源泉徴収部分書いてこないケースとかありますがそれは理由になりません。要するに相手が源泉徴収金額を請求書に書いてこなくても源泉徴収税額を払う義務は支払うあなたの会社側にあります。その税金部分をあなたが負担するとともに、不納付加算税10%(自主的に納付した場合は5%)と遅延利息がかかります。

 基本的に小さな会社が直面するのはおそらく従業員等の給与関連と外部の個人事業主等に対する報酬だと思いますのでそのあたり中心に話します。

 

    2.給与で気を付けたいこと―現物支給

 

 さすがに、給与やアルバイト代(月額88000円超)を払っていて源泉徴収をしていない会社はないとは思います。何かしら社員にお金を渡せば給与になり源泉徴収も必要そうだなと思うでしょうが、現物支給の場合は見逃しがちでしょう。太っ腹な社長さんで会社にカフェテリアを設けてすべて無料で社員は食べられる、または昼ご飯は全額会社支給とするといったケースがあるかもしれません。これが、どうなるかというと、その金額相当は給与とみなされ、従業員それぞれから源泉徴収しなくてはなりません。ただし、会社の食費補助額が3500円以下でかつ社員が半分以上を負担している場合には給与ではなく福利厚生費としてみなされ、源泉徴収も必要ありません。
 以前日本の名だたる大企業でも社食は有料、多少社員は安いですがせいぜい100円程度しか安くならないのに対して、シリコンバレーのベンチャー企業などに行くと結構カフェテリア無料というのはさほど珍しくなく、なんて日本の大企業はせこくて米国の会社は社員のことを大切にするんだと思っていましたが、これは税制の違いだったわけです。(米国の場合、車内カフェテリアは原則給与課税はされません)。
 社員旅行などもみんなで行く場合はよほど目が丸くなるような豪華旅行でない限り(おおむね4泊5日以内で、従業員の半分以上参加)特に給与とはみなされません。ただ、私も会社員時代思ったのですが社員旅行行かなくてもいいからその分お金でくれよと思いましたが、そうするとお金の部分は給与として課税されてしまいます。また、社員が社長の家族しかいない場合は、社長個人の経費とみられ役員賞与扱いとみなされるリスクが高いと思いお勧めはしません。

 

 

    3.アルバイト、パートで気を付けること

 

 皆さん88000円以下だと源泉徴収はいらないということで、ほとんどアルバイト、パートで源泉徴収をしていないと思いますが、これの条件として扶養控除等申告書を入手していることが条件です。これが提出されていないと源泉徴収の税額表上乙区になり3.063%を源泉徴収しなくてはなりません。割と税務調査で狙ってくるところですので注意したいところです。

 ただ、外国人のアルバイト(学生)などの中には日本国内で税金がかからないケースがあります。これはその国との租税条約によります。わりと有名なのが中国との租税条約で中国の学生で一定の学校に通っている場合は租税条約の届けを所轄税務署に提出することにより源泉所得税を免税とすることができます。ただ、このあたりは顧問税理士に聞いて確認ください(一般の税務職員だと租税条約などは詳しくない場合が多いので)。 

 

    4.報酬

 

 相手が個人事業主だときちんと源泉徴収を計算しない、または間違えていることがあります。よく間違えているのが交通費でしょう。業務委託先の個人事業主が立替交通費なども一緒に請求してくると思いますが、この交通費も源泉徴収しなくてはなりません。自分も納得感はないですが税務署サイドとしては「請求金額」ということでは交通費も実際の報酬も一緒という考えです。

 同じように消費税も原則は消費税も含めた金額から源泉所得税の金額を計算します。ただし、請求書等で消費税を明確に区分している場合は消費税部分から源泉所得税を取らないことは許されますが、区分されていない場合は消費税込みで源泉所得税を計算しなくてはなりません。

 いろいろ源泉所得税落とし穴があり、意外に税務調査で狙ってくるところです。気を付けたいですね。

  

 

 

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