「高単価にすればビジネスはうまくいく」は本当か?

 

    目次

    1.もうからないと悩んでいる方へのアドバイス

 

 よくどんなコンサルタントももうからない方に対して、高単価にすればビジネスはうまくいきますよとお勧めする方は多いです。これはどうしてなのでしょうか?ここでは非常に単純な例からお話しします。今原価10万円の商品(サービスでも構いません)があったとします。直感でこれを15万円で20個販売するのと30万円で10個販売するのはどちらが望ましいでしょうか?

 売上で見ると15万 x20も30万x10も同じく300万円で変わりません。しかし、粗利は大きな違いがあります。15万円だと粗利は5万、30万だと粗利は20万です。したがって、5万 x20で粗利は100万と、20万 x10で粗利は200万と粗利は2倍違います。同じ粗利を15万の販売価格で達成しようとすると40個販売しないと同じ粗利になりません。このあたりが基本的に高単価を勧める、または安易な値下げは勧めない理由です。

 

 

    2.顧客獲得コスト

 

 加えて顧客獲得コストという話があります。新規のお客様を獲得するには広告や業種によっては営業マンが足を使って訪問するなど一定の顧客獲得コストがかかります。前の例で一個当たり顧客獲得コストは原価に加えて5万円かかるとすると、1個あたりの利益は15万円の商品は15万ー10万―5万で利益はゼロです。しかし、30万円の商品は30万ー10万―5万=15万で一般的には十分な利益を確保しています。

 よく、うちの会社はそこそこ売上があるのになんだかもうからないとぼやいている社長さんの会社は非常に単純に構造を分解するとこの前者のようなパターンです。粗利が低くて営業コストを入れるとゼロまたは、その他の事務管理経費を補えるほどの利益を得てない場合がほとんどです。こうやってみると高単価でビジネスやる方がずっといいよねと思う方がほとんどだと思います。その通りなのでしょうか?

 

    3.顧客生涯売上

 

 実は前の計算式で利益が出ないとしましたが、実はこの中で無視されていることがあります。それはリピート顧客の存在です。確かに新規顧客を獲得するには例のように顧客獲得コストがかかるかもしれませんが、リピート(継続)顧客の場合はあまりかかりません。したがって、例えばすべてリピーターであれば極端な話5万円(15万ー10万)利益は確保できます。

 加えて、「顧客生涯売上」という考え方があります。確かに高額セミナーの販売のような一回勝負なものはがっちり利益を出したほうが当然良いのですが、リピーターを考慮して細く長くを考えるとある程度の値ごろ感は必要です。前の例だと一回きりのモノであれば15万の商品は利益がゼロ、30万円の商品は15万円の利益で10個販売できて150万円の利益で勝負になりません。

 しかし、15万円の商品がある程度のリピートが見込まれるのならば最初の1回は利益ゼロでも2回目からは利益が5万円でるので、たとえ20のうちリピーターが半分の10になっても毎月購入してくれれば5万 x10 x3=150万で3か月で追いつきます。ウサギとカメの競争でカメが結局追いついたということになります。こういったリピーター行動を考慮に入れて一人の顧客からの生涯にわたっての売上を「顧客生涯売上」と言います

 最近はやらなくなりましたが雑誌の創刊号などで豪華ふろくをつけることが一時ブームになっていました。これなどは典型的な例で最初はかなり利益を犠牲にしても雑誌を買ってくれるように顧客獲得コスト掛けます。そして、継続購読者になってリピートしてくれればその分はだんだんと取り返してくるわけです。

 こういった意味でビジネスの形態によりますが、価格や利益は顧客生涯売上から考えていかないといけないということになるわけです。

 

 

 

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