残念な急成長企業に見られる3つの特徴

 

目次

1.非常に残念な成長企業

 

 非常に残念なのですが、大抵我々会計コンサルティングにご相談が来るのはかなり財務的症状が悪化してからいらっしゃいます。癌でいえばステージ0~1のうちに来てくれれば早急に手当するのできるのですが、大抵ステージ4の他の部分にも転移して会社の存続が危機に瀕しているような状況でご相談があるので回復可能性は低くなり時間も長くかかり、ダメージも大きくなります。

 冷たいようですが、当初から売上不振とかそのような状況であればある程度淘汰されてしまうのは仕方のないことだと思います。しかし、どんどん成長して社会からも必要とされているような企業がちょっとした油断でつまづいてしまうのは非常にもったいないと思います。どんどん成長しているとついつい忙しく、かつ売上などはぐんぐん伸びているので大丈夫などと過信してしまうのが怖いところです。

 こういった成長企業に忍び寄る危険のわかりやすい兆しは何かというと、「意外と手元にのこるキャッシュすくないな?」という感覚です。ただ、現在、割とこういった企業には銀行もバンバン貸してくれれるので「まぁいいか・・」と思っているうちにどんどん癌のように会社をむしばんでいきます。そういった残念な企業が陥りやすいパターンを見ていきます。

 

2.顧客管理が雑になる

 

 どんどん成長していくときの怖さの一つは顧客管理が雑になることです。多いのは売上や顧客のステータスに酔ってしまうパターンです。一流企業など取引が始まると確かにベンチャー企業などではうれしいものです。売上も一桁違うレベルだったりします。本当の一流企業は取引先とも長期的な関係で共存共栄を目指しますが、実は「下請け業者」扱いで搾り取る体質の企業も少なからず存在します。すると、売上が伸びたのにその割に利益が少なくなります。加えてサイトの問題があります。例えば顧客からの支払いが2か月後払いで、自分の会社の支払いが1か月払いであれば最低1か月分のその顧客に関する仕入経費は自己で確保しておかなければなりません。すると売上に比例してそのまま仕入経費は増えていきますからどんどんと資金は必要になってきます。

 顧客ごとの利益管理などはどんぶり勘定、加えて回収・支払いサイトなど無頓着ですとどんどん手元に残る資金は少なくなっていきます。私の顧客先A社でも似たようなケースがありました。一流企業B社との取引で業績がどんどん伸びたのですが、やはり収益性とサイトの条件が悪く、A社は経営危機になり相談を受けました。ただ、A社の社長さんからB社の担当役員は非常に人間性も優れた素晴らしい方だと聞いていたので思い切って条件の改善案を一緒に作成し相談に行ってもらいました。幸いB社の担当役員の方も共存共栄の発想の方だったので社内を説得してほぼ条件をのんでくださりました。

 最終的にA社は完全に立ち直り現在では上場も果たし超優良企業、一方B社役員の部署もA社との条件を不利にしたのにも関わらずA社の成長で売上、利益総額を大幅に伸ばしました。社内がそういった体質なのかこのB社はここ数年で売上を2倍以上伸ばした会社として有名です。

 

 

3.高コスト体質になる

 

 成長企業であるとやはり高コスト体質が徐々に忍び寄ってきます。コストのすべてが無駄というわけではないですが優先順位や取捨選択が重要です。たいていあるのが、無駄に家賃の高い事務所に移転する、または自社ビルなどを建ててしまうのが一つのパターンです。せめて前者であればまだ、家賃の安いところに戻ればいいですが、自社ビル立ててしまうと後で売却するころには半値以下・・・などということもよくあり致命傷になりがちです。

 そのほかに私の別の顧問先でもありましたが、無駄に有名な弁護士事務所やコンサルティング事務所などに頼んでしまうことです。有名=品質が高いでもないですし、加えて品質が高かったとしても分不相応なオーバースペックであれば意味がありません。

 その他にも様々な財団や団体から会費や寄付のお願いが来たりします。一つ一つはさほど大きくなくても気前よくやっていると結構つみあがってきます。一方、広告費など費用対効果がわかりにくいもののチェックが甘くなってきて、確かにきれいで素敵ですが何を主張しているのかわからないホームページやパンフレットが高額で出来上がってきたりします・・・

 こういた感じで徐々に徐々に高コスト体質はしみついていってしまうのです。

 

4.採用がいい加減になる

 

  成長途上においては人手が必要になります。しかし、結構頭数重視になってしまい採用がいい加減になりがちです。その中でやはり会社の価値観に合わない人材が入社すると確実に会社をむしばみます。こういった人材が入社すると一体感が失われたり、良質の人材が去って行ったりします。実はスキルよりもこういた価値観が会社とずれていないかは非常に重要です。

 また、不思議なことに無茶苦茶忙しい人と暇な人が明らかに出ます。成長企業は往々にしてできる人のところには仕事が集中し、そうでないところは仕事が来ません。当然忙しい人=できる人は不満がたまり、いわゆるできる人から辞めていく会社にあってボディブローのように会社の体力を弱めていきます。

 

 

5.成長の罠にかからないため

 本当は健康で資金に余裕があるうちに一種の健康診断的に経営診断はしてもらう必要があります。小さな会社ですと顧問税理士などが対応してくれるはずですが、こういった経営診断ができる顧問税理士はあまり多くないのが現状です。こういった成長企業に適した顧問に変更するか、ベンチャ―企業に強い経営コンサルタントなどに会社が健康なうちから見てもらう必要があるかと思います。健康なうちでしたら逆にコンサルタント費用も工数がかからないため高くないですし、財政的にも余裕があるはずです。

 手遅れに近い状態で飛び込んでいくるお客様を見るたびにもうあと数か月早く来てくれれば・・・といつも思うので書かせていただきました。

 

 

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