ハウス食品に買収されたマロニーの狙い
ハウス食品が昨日マロニ―㈱を買収すると発表しました。プレスリリースを読む限り買収価額は未公表ですが日本経済新聞などでは数十億レベルと載せています。私事ですが娘がマロニーが大好きで冬の鍋の季節になるとかなり頻繁に登場するのと、やはり以前中村玉緒さんがテレビCMでやっていた「マロニーちゃん」の宣伝は非常に耳に残っています。HPをみると「マロニー」の由来は「まろやかに」や創業者の吉村義宗氏のシベリア抑留時代に一緒に働いていた明るいロシア娘の愛称「マロン」からきたなど社内でも諸説あるそうです。
現在の社長の河内幸枝氏は創業者の娘で40歳の専業主婦からいきなり総務部長として入社したという異色の経営者です。中村玉緒さんを少ない予算でテレビCMに用い「マロニーちゃん」というなんとなく関西ノリで宣伝するなど様々なアイディアで成長させてきました。しかし、素人だったので会社の経営指標をひたすら頭に叩き込んで社員に質問しまくり「なんでの河内」と呼ばれたほど、実はきっちり数字が見れる経営者と推察されます。
マロニーの売上は27~28億程度で純利益も1億程度と安定した中堅企業といえ特に救済の買収といった側面はないようです。買収数十億というレベルと日本経済新聞が報じているところを見るとEBIDTA倍率(減価償却前営業利益)は10を超えるような割とプレミアムのついた買収と言えるかと思われます。家業として考えた場合はこの河内社長が引き継いだ際も、娘婿である河内氏の夫と創業者吉村氏の確執があったことが原因のようですので事業承継問題が一つあったと思われます。
もう一つの面としては他にくずきりや海藻麺なども発売していますが、基本的にはマロニーちゃん一本の企業だったというのがあるでしょう。そして、将来の成長にハウス食品に頼ったという面はあるかと思います。ハウス食品によりマロニーちゃんの海外展開も考えているとは思いますが、プレスリリースをみると新たな商品開発という項目がありますから、社内の経営資源をうまくハウス食品に生かしてもらい一層の発展を目指していくのだと思われます。今回の買収でハウス食品の100%子会社になっても河内社長は留任の模様ですし、今のところ幸せなエグジット(出口)という感は強いです。
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