有休取得率を高めるには

 

経団連で会員企業に対し働き方改革として様々な数値目標を各社に定めてもらうことにするようです。その中で4連休の休日取得率なども含まれています。経団連が決められることではないですが、有価証券報告書の従業員の状況に社員の有休休暇取得率を載せればもう少し真剣になると思いますが・・・。日本企業の有休取得率は国際的に低いと叫ばれ続けて結構久しいものがあります。その一つとして、有休休暇は経営陣が当然に想定しておかなければならないコストであると認識してもらう必要があります。

少し話題が変わりますが、私は国際的な企業から日本の会計基準で作成した財務諸表からIFRS(国際会計基準)対応になるために修正を入れるよう依頼されることがあります。代表的なものが有給休暇引当金です。かなり日本基準はIFRSに近づいているのですが、のれんの償却と並んで変更がされない項目の1つです。多少乱暴目に簡単にいうと未消化の有給休暇残高日数分の給与合計を負債として認識するものです。考え方としては給料を払っても休みを取って働かない日があるのですからその分他の人で埋めなければなりません。その部分は負債として見込んでおこうというものです。そもそも有給休暇部分を会社の負債と経営陣がきちんと見込まないのですから理論的に有給休暇取得は増えません。ただし、引当の計算で有休の取得率が実績として低いと負債の額は低くなります。これが導入されると財務諸表を見て有給休暇引当金が平均給与水準と社員数から見て低いと有給休暇取得率が低いことが財務諸表を見ただけでざっくりですがわかってしまうわけで、このあたりが日本企業が「日本の労働慣行になじまない」と反対している理由かもしれません。そもそも「その労働慣行」を変えようとしているのにここで反対するというということは本当は変える気がないと思われても仕方ありません

欧米企業で有給休暇取得率が高い理由の一つに社長や役員クラスがきちんと休みを取ることがあります。私が以前いたGEはワーカホリック(仕事中毒)のスパルタ企業として米国でも有名でしたが私のいた消費者向け金融部門の社長は1か月、上級副社長(事業部長クラス)は3週間、副社長(部長クラス)で2週間、マネジャー(課長)クラスで1週間と偉い順に休みを多くとっていました。(万年)平社員は2~3週間と長くとる人も多いですが、冗談ですが上から4週間→3週間→2週間→1週間ですから当時マネジャーだった私の部下にたいして「この算式だと君たちの有休はゼロだね」と言っていました。しかし実際、上を目指す平社員の若手はほとんど有休ゼロで必死に休みなく働き、マネージャークラスになると多少休めるようになります。このあたりは格差社会の米国らしいです。ただ、この仕組みだと偉い人がいないわけですから、それ以下の人は非常に休みやすいわけです。偉い人がきちんと休めば全体的な有休取得率は高くなると思います。有給取得を増やそうと言っている経営陣自体が休まずにいたら誰も信じません。本来偉い人は自分がいなくても日常的な業務は動くように設計するのが仕事なはずですから・・。

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