リストラを推奨する助成金があるのか?
日本経済新聞で「働く力再興」という連載がされています。そのなかで厚生労働省のさまざまな働く人々のための助成金には非常に無駄や実際のニーズから離れたモノが多いのではないかと取り上げられています。特に労働移動支援助成金については2014年度300億円と前年度の150倍に増やしたようですが現在の執行率は7%と非常にさびしいものになっています。この助成金の目的を簡単にいうと業績の悪い会社から伸び盛りの会社へ転職できるような仕組みをつくり助成していこうというものです。内容は企業が雇用を維持できない状況になった場合、労働者を速やかに再就職させるため再就職支援を人材会社などに委託する、再就職のための訓練・グループワークなどを行うと一人当たり60万まで支給される助成金です。しかし、大企業については委託だけではだめで就職が実現するまで助成金が支給されないことになりました。
この助成金は新聞誌上などで「リストラ推奨助成金」などと叩かれました。理由としてはこの助成金は最終的には人材会社に流れ込むので人員削減、退職勧奨についてのコンサルティングとセットで営業活動を行う人材会社が続出したからです。そのため厚労省側も助成金支給の条件として企業側が退職コンサルティングを人材会社から受けていないことや従業員側が退職強要されていないことなどが条件となりました。
助成金について思うのですがやたらと数だけ多くて無駄が多いというのが実感です。そして助成金に対して頑張るのは業者で助成金ビジネスというのが一つの分野になっています。人材会社・コンサルティング会社・研修会社などが助成金が出るので「安く・またはほぼ無償で可能です」と様々な商品・サービスを売り込んでいます。自分などもそうなので残念なことなのですが自分の懐が痛むことは非常に慎重に考えますが、ただのものとか安価のものは「とりあえずやってみるか!」のような安易な気持ちでやってしまいます。そもそも企業で本当に必要なもの・サービスは費用対効果を考えて、たとえ非常に支出がかさんでも購入しますし、すべきです。少し極論ですが助成金で潤うのはこのような業者のような気がしてなりません。
助成金については非常に社会的意義が高いが、市場に任せておいたのでは実現が難しいものに集中したほうが良いのではないでしょうか?たとえば「障害者雇用助成金」ですが障害者の雇用などは社会的意義が高いと思いますが、確かにバリバリの市場メカニズムの中では特に知的障害者に雇用などは非常に実現が難しい問題となります(ただしこれも不正受給が横行して社会問題になっているようですがこれは制度設計の問題で考え方の問題ではないと思います)。
一方で労働移動支援助成金のように「助成金があるから自分の社員をどこかに再就職させるか!」という発想は健全な気がしません。私もお客様に必要だと思う商品・サービスがありそれに対して補助金や助成金があるならば勧めますが、「補助金・助成金があるからやりましょう!」という提案はしません。所詮補助金や助成金につられてやっても真剣度が低い気がして仕方ないのです。
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