三菱自動車にみられる隠蔽体質の根本原因
三菱自動車が軽自動車4車種で燃費を実際より見せる不正を意図的に行っていたと発表しました。これは以前のような会社ぐるみでの隠蔽ではなく、担当部長が指図していたものであると新聞記事で見る限りは思われます。かつ不正の認識から発表までも比較的速やかに行っているように思われ以前の教訓が生かされていないわけではありません。ただ昨年にもSUVの開発遅延を報告しなかったということで部長2人が依願退職扱いになっており、会社に隠蔽体質が文化として染みついているのが大きな問題だと思われます。
会社の隠蔽体質は別に大企業だけでなくワンマン社長の中小企業でもはびこりやすいものです。ただし、大企業の「会社はつぶれない」という(実は根拠の薄い)安心感がより隠蔽を促進させます。よく隠蔽体質の原因として厳しい業績管理体制があげられますが、たいていの優良企業は業績管理は厳しいですが、だからと言って隠蔽体質がはびこっているわけではありません。
隠蔽体質の根本原因として経営の上層部がどれだけ「見たくない現実」を直視できるかという許容度が低いということがあげられます。当然事業で思い通りにならないことは普通にありますが、その際報告した部下を「こんなはずではない。なぜだ!」といった形で感情的に叱責するのが一つの例です。加えて「報告した人間」を戦犯にするいわゆる”shooting the messanger”(報告者を撃つ)だと拍車をかけます。業績管理が厳しい優良企業はうまくいかない場合は人を責めるより先、冷静に原因究明に力を注ぎます。当然担当に責任があれば厳しい評価が下されますが不可抗力の場合などはきちんと配慮します。いわゆる上層部が耳触りの良い情報のみ求めて「見たくない現実」である悪い情報に感情的に対応するようであると当然部下は「配慮」して隠蔽体質が蔓延するわけです。
逆説的ですが隠蔽体質を解消するためには上層部が悪い情報もきっちりとらえて原因究明も冷静かつ徹底的におこなっていく、ある意味厳しい業績管理が大切なのです。
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