資本金1億円は税制優遇見直しへ -アイリスオーヤマは不当に優遇を受けているか?
以前シャープが資本金1億円に減資する話を当ブログでコメントしましたが、政府もいよいよし資本金1億円以下を中小企業の基準としてさまざまな税制上の優遇措置を与えることを見直すようです。主な優遇措置としては所得800万まで軽減税率の適用、繰越損失が100%所得から控除できる、外形標準課税(資本金、給与、地代などの一定割合に課税させる)、留保金課税の不適用などがあります。
確かにシャープのような赤字を抱えた企業が中小企業としての特例を受けたとする繰越損失が控除できる、外形標準課税が課税されないなどはメリットあります。
一方で大きな売上や利益を上げているにも関わらず資本金が1億円以下で優遇措置を挙げている企業の代表としてアイリスオーヤマが挙げられていました。たしかに新聞記事等で見る限り売上や利益などは大きそうな会社でいったいこのような会社の財務諸表はどうなっているのだろうと興味を持って探してみました。ただし、非上場会社なので財務諸表は非公開でたまたま平成20年と古いですが㈱ホートクという当時の名証上場企業(今は上場廃止)の親会社であった時代の財務諸表が公開されていました。
この年はデリバティブ関連の大量な処分をしているので赤字、借入金も500億程度ありましたが、一方で内部留保も500億程度ありました。もし資本金が1億以上の同族会社であればであればその年の所得で内部留保に回った部分に関しては課税される留保金課税が適用される可能性が高いのでその意味では中小企業の優遇制度を不当に受けているという見方ができなくもないです。ただ、もともときちんと税金を真面目に払っている会社にまた内部留保に課税するという同族会社の留保金課税というのは個人的には不当な課税と思いますし、自己資金と借入でやりくりできている会社が特に資本金を増やす合理性もないので不当に優遇措置を利用しているというのは酷な見方と思われます。結構こういう記事を見て義憤?にかられた方々が会社に電話してきたりして結構困っているのではとやや気の毒におもいました。