補助金で消費税部分が支給されない理由
目次
1.コロナ禍の補助金
コロナ禍のせいか、ここ数年お客様でいろいろな補助金の支給をえる方は多かったです。持続化給付金から始まり、その後持続化補助金、事業復活支援金、家賃支援給付金などいろいろありました。正直な感想としては、確かにこれで不運にもコロナ禍で打撃を受けた事業者の方々を救った面もありますが、ずいぶん雑な大盤振る舞いであった感は強いです。
ただ、一方でこの機会に補助金菜緒を使ってビジネスモデルを見直して構造改革を悉皆やられた方々もいらっしゃいました。その際、補助金関係については、「補助金でモノを購入したけど消費税部分は払わないと事務局が言っている、これ酷くないのか?国が消費税部分値切るのか?」という声がありました。これってどうしてなのでしょうか?
これはそもそもの消費税の仕組みにあります。それを見ていきます。
2.消費税の仕組み
基本的な考え方、消費税は間接税、つまり納付者≠担税者です。実際に税を負担するのは最終消費者であり、商品やサービスを提供した事業者ではないということです。例えば、事業者は商品を販売しその際消費税を受け取りますが、一方でその商品を仕入れたときの消費税や事業活動に払った消費税を差し引いて消費税を納付します。つまり受け取った消費税=支払った消費税+納付した消費税ですから事業者は理論的には得も損もしていないということです。そして、実質的な税金の負担者は最終消費者ということになります。
ただし、免税事業者には納税義務はないですから受け取った消費税をもらい、商品仕入れ時には消費税を払ってそのままです。一方簡易課税という制度があり、簡単に言うと仕入れにかかった消費税をみなしで一定の割合で計算します。例えばみなし仕入割合が80%の小売業は売上で預かった消費税の20%(100%-80%)を払えばいいのです。
すると補助金をもらった時の考え方はどうなるでしょうか
3補助金と消費税
基本的に国からの給付金・補助金・助成金、消費税は不課税です。そこで、問題となってくるのが、この補助金等がモノやサービス購入の補助であるケースです。あまりないのですがわかりやすくするために補助率100%の補助金100万を消費税本則の企業が取得したとします。この百万で税込み100万の品物を購入したとします。購入した商品の消費税は約9.1万円(100万円÷1,1×0.1)になります。もし、この取引しかなかったとすると消費税申告で預かり消費税は不課税なのでゼロ、一方支払った消費税は9.1万円ですから、この9.1万円は還付されてしまいます。
要するにこの企業は100万の品物を無償で購入したうえ9.1万円追加でもらえるというわけですから、これは補助金を支給する国や地方自治体などにとっては無駄だということです。そのため、消費税部分は支給しない、または返還を求めるといったことになります。
確か記憶によれば昔に会計検査院の検査でこの補助金の消費税部分が指摘を受けて変わったというニュースを見た気がします。
一方簡易課税や免税事業者の場合はこういった消費税の還付は受けることができないので特に問題はないということになります。一見、面倒だとか補助金もらったのに消費税部分は自腹なのかと腹を立てる方もいらっしゃるのですが、まぁ考え方としては合理的なんだなとは思います。これは仕方のないことなのです。