実は気を付けないといけないかもしれないインボイス制度の小ネタ
目次
1.インボイスセミナ―盛況
いよいよインボイス制度導入まで1年と少々になりました。インボイス制度に関して各地の商工会議所や法人会などで依頼されてセミナ―開催しています。以前は少なければ参加者は10数名程度でしたが最近は50人を超えることも珍しくなくなってきました。ある意味残念ながらこれは私が著名講師だからでもセミナーが素晴らしいからでもなくおそらく、皆さんの関心の高まりでしょう。
特に商工会議所などの主催する無料セミナーだと、さほど質問が来ることはないのですがインボイスの場合は皆さんやはり自分の会社に直接ヒットするものなので熱心に質問される方とかもいらっしゃいます。セミナー中も皆さん真剣に耳を傾けられ携帯などいじっている方はほぼいないです。
ただ、いくつか質問でも細かいところでどうしたらいいんだろうか?みたいなことはよく起こります。そういったネタどうなるか、税務関連誌などを見ながら調べてみました。まずは銀行振込手数料です。
2.銀行振込手数料
支払いで振り込みをする際、ATMはインボイスいらないですが、なぜかインターネットバンキングは仕入税額控除のためにはインボイスの入手保管が必要になります。不思議に思われますが、ATMは自動販売機特例(機械装置を通じて取引が完結する)がインターネットバンキングは機械装置を通じたサービスではないからというのが根拠のようです。スマホやPCは機械装置じゃないの?と役所の見方に?が付きますが、インタネットバンキングで振り込んだときはきちんとインボイスを保存しておく必要が出ています。ICT化に逆行するような流れだよなと苦笑いですが。
加えて面倒なのは売掛金の振り込みで相手が振込手数料を差し引いて支払ってきた場合です。例えば1万円を請求しても相手が振込手数料330円を差し引いて99670円が口座に入金されているようなケースよくあります。こちらから出したインボイスでは振込手数料部分の記載がないので振込手数料部分の消費税30円は仕入税額控除できないことになります。どうしたらよいでしょうか?
対策としてはこちらで振込手数用部分を値引きとして処理をするというのがあります。一つは、もう請求書(インボイス)出す段階でどうせ相手は振込手数料部分を引いて払ってくるので最初から値引きとして記載してしまうパターンです。こうすればインボイスは手元にあり売上の戻りの計算すればいいわけですから問題ないです。また、振込手数料は相手に負担しては欲しいのでとりあえずインボイス(請求書)は1万円、後日330円(消費税30円)を値引きとして差し引きましたと相手にメールのインボイスの形で伝達する方法もあるでしょう。
もう一つは振込手数料を買手の立替と考えるという考え方もあります。そして相手方の振込みが、ATM振込の場合は自動販売機特例が不要なので帳簿に金融機関名(適格請求書発行事業者である旨)、ATMを使った自動販売機特例である旨が記載あれば問題ないと思います。ただ、ATM以外の方法の場合、得意先に立替金明細書を作成してもらわないといけないのでこれはかなり面倒です
税務関係の雑誌等で国税庁の担当官談話として記載されていたですが、実務上こんな面倒なことやるんだろうか?というのは疑問です。私もお客様にこのお話はしますが、多分普通にやって税務調査で見つかって否認されたらあきらめようというのが大勢かもしれません。これについては、あまり厳しく指導はひないでしょうね。
3.ETC
後面倒と思われるのはETCです。今まで、カード明細等で3万円以下領収書保存は仕入税額控除の要件としては免除されていたので、帳簿に必要事項を記載で通常は問題がありませんでした(3万円超のETC通行料がない場合)。しかし、インボイス制度導入で金額の多寡に関わらずすべてのインボイスは保存が必要となります。
加えて、カード会社の明細は通行料が支払われる相手先ではないのでそもそもインボイスの条件を満たさないですし、ETCは公共交通のインボイス発行免除の中にも入ってこないです。多分これは推測ですが、各高速道路会社が提供する利用明細サービスでインボイスが発行されるのではないかと
思われます。インボイス発行義務は各高速道路会社にありますから。毎月利用明細を車ごとにダウンロードして出して電子保存(当面は書面も可)
高速を頻繁に使う長距離運送会社などはすごく大変そうだなと思います。
このように結構こまごまと業種・業態によっては考えないといけないことが多いです。いろいろ準備必要ですので皆さんもいろいろ考えた方がよいかとは思われます