起業家・小さな会社の経営理念に必要な2つのポイント
目次
1.起業家に経営理念は本当に必要?
日経トップリーダー8月号に「経営理念をアップデ―トとせよ」という特集が載っており興味深く読ませていただきました。内容はどちらかというと経営者の個人的な想いによる理念からからボトムアップ型の従業員もまきこんで理念をみんなで考えていくことを提案していました。その中の例として面白法人「カヤック」などが挙げられています。この会社では自社のHPで各従業員が自社の理念について真剣にかつ自由に語っています。
https://www.kayac.com/news/2017/01/philosophy_blog_vol5
ただし、まだまだ会社が小さいレベルであれば創業者の想いが必要です。このブログの対象は個人事業主や小さな会社の社長さんを主としていますのでそのような方々はまずは自分の理念は明らかにしたほうが良いと思われます。しかし、正直毎日に追われ、そんな高邁なものは考えたこともないし、考える必要もないと思っている方も多いかもしれません。
特に起業したばかりの間はとりあえず日々の日銭を稼ぐので精一杯で本当に余裕がないかもしれません。私もそういったステージではあまり理念など
は立てられないかとは思いますが、ある程度お客もついてきたらそろそろ自分の理念を考える良いチャンスではないでしょうか。
私は一般的には成功した事業家と見られている方とお会いする機会があります。上場して数十億という資産を手に入れるなどは小さなコンサル会社と会計事務所の代表である私と比べると一般的には雲の上レベルです。しかし、確かに金銭的には成功ですが、常に本当に成功なのでしょうか?
一つの例としては、上場してお金は手に入れたけど会社は自分の思っていた方向とは違ってしまい、もう会社を離れたいが何をしたらいいのでしょうかと悩みを話されていた方もいらっしゃいました。この方はビジョン(例えば会社を上場のレベルまで成長させる)はあったのですが理念はなかった、またはあったとしても明確化されとらず理念からそれた運営をしてしまったということなのでしょう。
要するに登山で苦労して山に登ったのですが、山頂は違う山だったということです。これは実は非常に悲しいことです。やはり理念は大切です。それではそのように考えたらよいのでしょうか?
2.理念を考えるポイント -事業の存在価値
理念は大きく分けると2つに分かれると思っています。あなたの事業の存在価値とあなた自身の価値感です。まず、事業の存在価値を考えてみましょう。
大抵の方はたとえその影響力がさほど大きくなくても社会的に何かしら良い影響を与えるお仕事をされているはずです。私の場合、起業家の支援をしているのは大企業や役所で働く以外の選択肢を世の中に生み出して、皆が楽しく働けるエコシステムを日本に創りたいという理念に基づいています。このように自分の仕事が社会にどのような影響を与えるのかというのが自分の理念について考える第一歩でしょう。
こういったやや抽象的なことを考えること、苦手な方結構多いと思います。実は私も大して得意ではありません。例えば、以下のSDG’Sなどを見るとイメージがわくかもしれません。SDGsはsustainable-development-goals(持続可能な開発ゴール)、「こんなことに注力していけばどんどん世界は良くなっていくよね」という項目を列挙したと私は思っています。
http://www.jp.undp.org/content/tokyo/ja/home/sustainable-development-goals.html
一方、セミナーなどに参加したり、コンサルタントに聞くといったのも方策ではあります。ただし、気を付けないといけないのはこの利点は人に話すためにあなたの中でまとめようという力が働くことであって、基本的にはあなたがご自身で考えなければならないことです。セミナーやコンサルタントは一種の触媒のようなもので他人が作った理念などは一切役に立ちません。
3.理念を考えるポイント -あなたの価値観
もう一つは事業を行うにあたってどういう価値観を持つかです。たとえば、私の場合、ステージアップしたい、事業拡大をしたい起業家のサポータ―という価値観を持っています。したがって、現状維持的で単に金儲けと蓄財にしか興味がない方の支援は基本的に行っていません。税理士としては実は安定した資産家に様々な節税サービスを提供すれば高単価をえることができます。しかし、私は全く興味がわかないのでお話しがあっても他の人をご紹介してしまいます。
また、事業承継支援も社会的には非常に意義がある業務だとは思いますし、比較的高単価であるケースも多いですが、「ステージアップ」
「事業拡大」からは外れているので基本的にはお受けしていません。
このようにある程度自分の価値観が定まるとやる仕事とやらない仕事はっきりしてきます。すると儲かるから・・とあれこれ手を出すことはなくなり
ます。まずは理念という土台がきっちり定まっていなければどんどん軸がぶれていってしまうわけです。
こんな偉そうなことを言っていますが起業当初はブレブレで何度か痛い目にあって本当に自分がやるべきなのはなんなのかを考えて現在に至っています
4.ビジョンとは
理念は事業を行うにあたって生涯をかけて目指していくものだとするとビジョンは一里塚のようなものです。登山に例えるとベースキャンプです。山に登るにしても遥か遠くの頂きでは気持ちが萎えてしまいます。そのため、途中で目指すポイントを決めてとりあえずそこを目指していくことになります。
普通は2~3年後自分のなっていたい姿を想像することです。また、自分の例を挙げさせてもらうと有機的な「チーム川井」といったものを創り、
様々なプロジェクトをチームでこなす形にしたいと思ってました。残念ながら昨年まではそのあたりぼやっとしたものでしたので結局ほとんど一人でプロジェクトをやってしまったり、ほとんどパートナーさんに仕事を丸投げだったりしていました。やはり自分のなっていたい姿を想像して文書化して深めていくということは非常に大切だと思います。
一方ビジネスですからこれを数字に落としていくこれも大切です。ビジョンを数字に落とし込むコツ、これは多少数字のリテラシーが必要です。ここは人によってはコンサルの助けが必要かもです。
5.行動指針と作り方
理念やビジョンはそれでも実際に自分がどのような行動をするのか(~します)(~にするよう努力する)といった
ものです。理念やビジョンは自分の理想の姿ですからやはり抽象的です。特に従業員がいる企業になると行動指針まで落とし込まれていないと多分従業員は動けないでしょう。一方小さな会社であっても行動指針まで落とし込んでおくとかなり動きが具体化します。
例えば、自分の場合は「起業家」の応援ですから最低限のスピードは必要だと思っています。従って、行動指針として24時間以内の返信を心掛けていて、お客様にも伝えています。当然24時間以内に答えだせない複雑な案件もありますがその際にも、メールを見た旨、少し時間がかかる旨を返信するように努めています。
こういった企業の理念作り方のコツとしてはメモなどに書いて推敲していくことでしょう。その人のタイプによって一気呵成に行うのが向いている方
じっくり作るのが向いている方いろいろいるとは思いますが、前者の方でも一気に作ったあと振り返るいわゆる「熟成期間」必要な気がします
もう一つ加えると名詞止め「貢献」ではなく誰に何をしたいのかがはっきりしている方が頭に入ります。有名な企業の理念でナイキの「世界中のすべてのアスリートにイノベーションとインスピレーションを」とあります。これがおそらくよくある企業の理念の「にイノベーションとインスピレーション」という名詞止だったら全く心を打たなかったに違いありません
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