ここだけは気を付けたい税理士も苦手な印紙税のポイント

目次

1.なぜ印紙税が苦手な税理士が多いか?

 たまにお客様から印紙の相談を受けます。私も全然得意ではないですが税理士で印紙税、苦手意識のある方少なくありません。実は税理士法2条において税理士業務の範囲外と明確に書かれています。「税理士は、他人の求めに応じ租税(印紙税、登録免許税・・・・を除く・・・)に関し、次に掲げる業務を行うことを業とする。」と印紙税は除かれています。そのため税理士試験でも印紙税法はありません。したがって、代理権限はなく、税務調査などで印紙税について調査官と交渉は本来できないと考えられます。

 ただ、お客様が困っているのに知らん顔はできないですし、普通の方よりかは多少場数を踏んでいるのでやっている方がほとんどだと思います。税務調査においても代理としてではなく、税務調査を円滑にする目的で社長(または経理担当)の言葉を専門家的に税務当局に伝えるという便法なのでしょう。私も印紙税については、会社勤務のころいろいろ調べたりしているのでその際の貯金が少しあるという程度で専門家というレベルに達しているかは自信はありませんが、当然知っておいた方が良いポイントなど話していきたいと思います。

2.印紙税気をつけるポイント

 一般の方は印紙税は印紙税法第一課税物件表1~20号に定める文書(課税文書)について印紙税が課税されると思っていただければ問題ないと思われますが、多分よく使うのは1号(不動産の譲渡、運送、お金の貸借の契約書等)、2号(請負)7号(XX取引基本契約などの継続的取引)17号(領収書など)の3つでしょう。1号、2号は1万円未満、17号は5万円未満は印紙税がかかりません。大量に領収書や契約書を発行する業種は要注意です。

 印紙税の調査においてはまずその会社の契約書や領収書の発行手続きを見ていききちんと印紙を貼っているかをチェックします。そして領収書控えと印紙の受払簿などを照合して貼り漏れがないかみていきます。調査で貼り漏れがあることが判明すると原則印紙の3倍(本来の印紙+罰金2倍)です。ただし、元国税調査官の同業者に聞くと意図的に貼っていないなどの悪質な場合を除けば、調査が入る前に自主的に修正した110%(本来の印紙+10%)ですませる例がほとんどのようです。

 税務調査の便法上、領収書控えの該当数より印紙の払い出しが少なければその分貼り漏れと「推計」されますが、印紙税は本来こういった推計で課税することは許されていないはずなので、このあたりは交渉が必要だと思います。本来は「貼っていない契約書持ってこい。そしたら払ってやる!」とも言えますが、そこまで戦うかは日頃いかにきちんとやっているかにかかっています。本当に持ってこられて3倍取られたらやぶへびでしょう。

 あと消印していないと納付したことにならないので気を付けてください。別に契約書の場合両方の印鑑がないとダメとかはないのであなた側の印鑑だけでも消印しておいてください。

 

3.印紙税払いたくない人へのアドバイス

 そもそも普段からきちんと法人税や所得税を事業に対して払っているのにどうして文書作るだけで印紙税とか払わねばならないのかと疑問に思います。実は税理士会なども国税庁に印紙税の廃止を毎年訴えているようです。こういった印紙税を払いたくない方に対しては以下の方法があります。最初はどちらかというと小さめの個人事業主や法人のパターンです。

 印紙税は「課税文書」に対してかかりますから逆に「課税文書」でなければ契約書であっても領収書であっても印紙税はかかりません。例えば相手にメールで確かにXX円領収しましたと送ってもe-mailは課税文書ではないので印紙税はかかりません。メールだと改ざんできるかもと心配な方は印鑑自分の印鑑押してそれをPDF化してメール添付で送った場合、これも「課税文書」ではないので印紙税はかかりません。

 ある程度内部監査などがある大き目の会社の場合は、電子契約が随分普及してきました。こういった電子契約業者と契約すれば毎月の料金などはかかりますが、効率性と印紙税を考えれば十分元が取れるでしょう。

4.印紙税を節約したい方へ

 一方で会社が紙文化でここまでやりたくない方もいらっしゃるかもしれません。その場合はちまちまとした方法はあります。一つは消費税の表し方です。税込み1080万円の請負契約の場合、税込み1080万と記載してあれば印紙税法上の金額は1080万で2万円(1000万超の2号文書)ですが1000万プラス消費税80万と記載してあれば印紙税法上の金額は1000万で1万円(1000万以下の2号文書)で1万円ですみます。消費税はきちんとわけて記載しましょう。

 あと私がかなり昔に銀行員だったころ借入の契約書を2つにしたほしいと依頼がありました。1200万の借入を500万と700万に分けました。1200万の1号文書は印紙税2万円ですが500万(2千円)+700万(1万円)で印紙税は1万2千円で、8000円安くなります。このように契約とか領収書など2つにわけると印紙税安くなる可能性高いです。

 最後は多少ちまちました話ではありますが、こういったことがお好きなマメな方は試してみてください。

 

 

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