働き方改革はうまくいくか?
経済対策の目玉として盛り込む働き方改革の原案が今日の日本経済新聞に載っていました。感想としては成長を底上げするような内容でないなぁというのが実感です。
ます、同一労働同一賃金です。欧米ではこれが浸透しているとよく言われていますが、これが浸透しているのは比較的単純な仕事だけです。例えば企画や研究など創造力が必要な職種ではこれが適用されていないどころか、優秀な人をつなぎとめるため、逆に格差が日本より大きいくらいだと思われます。欧米的な物差しで測るとおそらく、日本の場合単純な仕事では非正規の賃金が安すぎるというよりも正社員(特に年配)の賃金が高すぎます。正社員の賃下げもセットか非正規切りが行われるだけになる可能性は高いのではないでしょうか。
130万円の壁については従業員に20万の助成金を出すようですが対象人数を15人から増やすそうです。パートを大量に雇う企業には適用がなさそうですし、このようないわゆる配偶者の働き方の問題点を単なる助成金で糊塗するのは税金の無駄になりそうです。議論百出とは思いますが地道に配偶者控除など夫婦共働きが普通になった時代にあった税制・社会保険のあり方を早急に考えるべきでしょう。いわゆる急がば回れです。
残業時間の上限はサービス残業を増やすだけだと思いますし、雇用保険が余っているからと言って年8000円程度雇用保険が安くなる、育児休業の延長なども小粒すぎます。
ここで一番頑張ってほしいのは解雇の金銭的解決制度ですが、「検討を加速」という官僚用語ををわかりやすくいうと「すぐにはやらないけれど多少数か月以内に考えてみましょうか」です。以前ある社会保険労務士が「従業員をうつに追い込んでやめさせる」旨のブログをかいて糾弾されていましたが、解雇が表だってできないためこのような陰湿な手段を取らなくてはならないわけです。年配の従業員を集めて単純作業や仕事を与えないなどの追い出し部屋は程度の差はあれ大企業では普通に存在しています。一方中小零細では一方的な解雇は普通にあります。私は金銭で解決したほうが(濫用を防ぐ手立ては必要ですが)大きな流れとしては労働者にとっては好条件だと思います。労働団体や野党が内容の改善を要請するのならともかく、断固とした反対の態度をとるのは理解できません。
全般的には成長底上げの観点からは期待が持てない内容と言っていいでしょう。残念です。
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