いかにしてステレス増税は行われたか? 年末調整雑感

目次

1.年末調整終盤

 12月の前半、税理士の皆さんは年末調整のお仕事をされている方が多いのではと思います。大企業などではだんだんと自動化が進んできた分野だと思うのですが、まだまだ中小企業、特に税理士が入っているような会社だと手作業が多いです。

 正直私は好きな業務ではないです。機械的ですが各従業員さんの手取りにかかわる話なので小さなミスも許されません。その割に提出資料にはミスや抜けが多く、どこまでカバーしてあげるかというのは悩みです。できるだけ拾ってあげるようにしますが、当たり前ですがそうすると割の悪い仕事になるわけです。嫌な言い方ですがまじめにやると金銭的には損というお仕事です。その代わりお客様との信用という財産築いているかなと自分では慰めております。大体午後、音楽などを聴きながら淡々とやるという感じ、夜は間違えそうなのでやりません。

 加えて、一方いろいろな控除の制度を見るにつけもやもや感が募ります。その一つとして扶養控除と配偶者控除があります

2.扶養控除

 16歳未満の年少扶養控除38万円が2011年から廃止されています。これは2010年4月から「所得制限のない」児童手当が創設されたからということになっています。細かく言うといろいろありますが、この児童手当、ざっくりいうと3歳未満は月15000円、中学生までは月1万円支給(ただし小学校修了前までの第三子以降は月15000円)が支給されるのが現在の制度です。

 ただ、途中からやはりという感じで所得制限が適用されました。2012年4月からは年収960万円以上は特例給付という形で月5000円に減額、そして2022年10月からは年収1200万についてはこの月5000円も支給されないことになりました。

 ざっくりいうと課税所得330万~695万の中間層の所得税率は30%(住民税含む、復興所得税除く)なので3歳以上の子を持つとかつてもらえていた年少扶養控除は38万x30%=11万4千、児童手当は12万なのでほぼ変わりません(住民税の計算は少し違いますが省略します)。児童手当をもらいはするのですがその分税金を多く払うことになり結局チャラ、全然少子化対策になっていません。 そして、実は課税所得695万超は実は増税でした。

低所得者には恩恵はあったかとは思いますが中間層はほぼ中立、それ以上には単なる増税だったということです。こういったステレス増税、実はあります。

3.配偶者控除

 加えて、配偶者控除、これによってむしろ女性の社会進出を妨げているのではという話もありますが、とりあえず税金負担に話に絞って考えてみます。これも合計所得が900万円から制限が始まり合計所得1000万超(サラリーマンで年収1200万)で配偶者控除はゼロになります。

 民間給与実態調査では2021年の給与所得を得ている人の中で例えば年収1000万超は4.9%、一見選ばれた高所得者のように見えます。だから児童手当や扶養控除、配偶者控除など総合して増税でも良いのでしょうか?

 実際、都内で40代後半子供が2人私立行っている家庭だとおそらく世帯年収1000万程度だと決し暮らしは楽とは言えないでしょう。年収1000万前後、収入は多少多めなものの中流の少し上あたりの子育て中の人たちの負担はやたらと重いです。この世代の年収層に対し、増税というのは少子化対策に逆行しています。

 加えて、税金ではないですが、社会保険料負担はどんどん上がり、40代は加えて介護保険料の負担も始まりますから非常に厳しい世代といえます。

4.児童手当の変更と扶養控除の縮小

 来年の4月から児童手当、高校生からもらえるようになり、そして所得制限が撤廃される予定です。その代わり扶養控除が38万→25万(住民税33万→12万)となります。国税の扶養控除減少分は13万、これに所得税率をかけた部分のみの増税ですから差し引きでは必ず負担減にはなり、低所得者ほど恩恵が増えるとはいえます。そして所得制限がなくなるので扶養控除が減ったとしても手取りは増えます。

 岸田政権また「増税めがね」か!と評判は悪い施策ではあり、妙に複雑でわかりにくいですが一応理にはかなっています。ただ、見てきたように政府にはあとでこっそり所得制限つけて結局増税したという前科がありますので、これについてももやもや感は晴れません。