もし議員の大名海外視察旅行に国税のメスが入ったら?

目次

1.議員の海外視察

 コロナ禍で一時なりを潜めていた議員の海外視察、また復活し始めたようです。今は、香川県で県議会議員さんの海外視察で結構大きく騒ぎになっているようです。

「県議8人は11月10日から9泊10日で、南米のパラグアイやブラジル、アメリカ、ロサンゼルスを回る。移動の飛行機はビジネスクラス。航空代は、全部で1人あたり約187万円がかかる。そして、ロサンゼルスを訪れた際に県議たちが宿泊するのは、1人一泊6万6千円する高級ホテル。しかも、最上階から美しい景色を一望できるエグゼクティブルームだ。宿泊代は、合わせて1人あたり約29万円がかかる。」

【議員を直撃】“ビジネスクラス”移動“1泊6万超スイート”宿泊…県会議員8人が「高額な海外視察」 県民は猛批判(FNNプライムオンライン)より

 多分この記事を読んで怒りをお感じになっている方いらっしゃるかもしれませんがこれって本当に無駄な高額海外視察なのでしょうか?

2.高額な海外視察か?

 10日間で3か国をまわる、観光旅行でなくきちんとしたお仕事ならばかなりハードなスケジュールといえます。北米、南米だと飛行時間も長いですし、入国・出国審査はかなり疲れます。はっきり言って狭いエコノミーで行ったら相当タフでなければヘロヘロになるでしょう。きちんとした仕事ならば遠方は飛行機はビジネスクラスで行く、多少高いかもしれませんが私は妥当な話だと思います。

 一方、1人一泊6万6千円する高級ホテル?、確かに一般的な日本人の感覚からすると高いと思われますが、今アメリカのホテルは円安もあり無茶苦茶高いです。正直ロサンゼルスで6万程度のホテル、東京でいうと2万前後のホテルのグレード、ビジネスホテルではないですが少なくともリッツカールトンのような超高級ホテルの料金ではないです。多分エグゼクティブルームなのでそのホテルとしてはグレードの高い部屋だと思われますが、セキュリティ等総合的に勘案すれば特に目くじらを立てるほど高い部屋ではないと思います。

 豪華旅行だという県民の批判に対し「費用を精査」といっていますが実はそこが問題ではないと思います。この旅行自体が豪華なわけではなく、こういった日程・訪問場所で旅程を組めばそれなりに高額なのは仕方がないことです。問題の所在は高額な費用が掛かるのはやむを得ないとして、そんな高額の費用をかけてまでやらねばならないのかという「仕事の中身」の問題だと思いま。前提として「きちんとした仕事」なのかということです。

 英語も現地語も(多分)話せない人間が現地に行っても挨拶と物見遊山の旅になるのではと思われるわけです。こんなことに血税が使われると、我々一般庶民は納税がばかばかしくなるわけです。

3.がんばれ国税

 一般庶民が真面目に納税の義務を果たすためにも、頑張ってほしいのは税務当局です。我々一般庶民、特にこの手の海外視察、海外渡航費として税務調査官の厳しい目にさらされています。是非このような議員の海外視察同じスタンダードで対応してみてください。

 法人税基本通達によれば「海外渡航が当該法人の業務の遂行上必要なものであり、かつ、当該渡航のための通常必要と認められる部分の金額に限り、旅費としての法人の経理を認める。・・・・・その旅費の額のうち通常必要と認められる金額を超える部分の金額については、原則として、当該役員又は使用人に対する給与とする」(法人税基本通達9-7-6)です。

 要するに業務の遂行上必要とされない部分は旅費ではなく給与とされます。会社にとってはどちらも経費ですが、給与の場合は源泉徴収として議員報酬から天引きされると思われます。要するにその部分は所得税がかかり、税金を参加議員に払っていただくというわけです

 「観光に附随して行った簡易な見学、儀礼的な訪問」は平成12年10月11日法令解釈通達に基づき「観光」にいれこの部分は給料とみなされるわけですから、是非高松国税局は是非調査に入っていただき、精査してもらいたいものです。県庁内部のお手盛りの精査ではなく税務調査で一般市民に行うような厳しい目で是非見ていただきたいです。これによって税金の無駄遣いのような議員の会が視察も減り、一般庶民も納税意欲高まって一石二鳥と思うのは私だけでしょうか?