電子取引をめぐるトホホなドタバタ劇をまとめました。

1.電子帳簿保存法一部改正の延期

  電子帳簿保存法が改正されました。多分私の理解ではこの改正は民間においてデジタル化をもっと推進しようという意図ではなかったかと思われます。ところが、実は税理士の同業者の中で一番話題になったのが電子取引に関する書面保存の禁止です。電子取引といっても、これは電子メールやメール添付の請求書、ネットでの購入の請求書など様々な取引について電子的な保存を義務付けるという話です。

 単に電子で保存だけならば大した話ではないのですがが国税庁が要件を細かく設定して中小企業のとっては非常に面倒な話になりました。これに対応するためにはあらたなソフトウェアかタイムスタンプをを導入するか、マニュアル作業でフォルダーを作成して整理しなければならないなどが必要となったのです。(こういった電子取引保存の決まりについては以下の以前のブログ参照)
https://ta-manage.com/211006_ebook/

 これが12月10日発表された令和4年度税制改正大綱でいきなり2年間の延期となりました。要するに電子できたものを書面で印刷して保存でも差し支えないということになったのです。
施行開始から一か月を切ったところで延期とはびっくりです。これだけではなく本当に電子取引に関してはドタバタ劇でした。

 

2.電子取引をめぐるドタバタ

 令和3年7月に国税庁から出された「電子帳簿保存法1問1答」ではもし電子取引を、この改正電子帳簿保存法に基づかずに保存した場合青色申告承認取り消しの可能性があると言及して税理士業界ではちょっとした騒ぎになりました。青色承認取り消しになれば様々な特典が取り消されますからこれは大変な罰則と言えます

 ここで出てきた動きが書面化への逆行です。結構税理士で有名な方なども奨励していました。今まで電子で送っていたもの、または送ってもらっていたものを書面にすれば電子保存の必要がなくなりますから。電子で送らないように、自社も電子ではなく紙で送るとようにするという逆行現象が起こり始めていました。

 そのせいか慌てて国税庁が11月にお問い合わせの多い質問という形で青色申告承認取り消しは行なわないと火消しをはかりました。その後おそらく自民党内からも批判がたくさんあったのか、今回ついに電子取引に関する規定は延期となりました。

全くどたばたと酷い状況といえます。それでは一体何が改正されたのでしょうか?

3.じゃあ何が一体改正だったのか

 本来のこの趣旨はデジタル化の推進にあったと想像されます。しかし、(これも私見ですが)現場の国税調査官は非常に嫌がったと思います。紙の領収書や請求書、なんとなく見た目や保存状態などから怪しいという勘が働くのですが電子だとそういったものが働きにくいと元国税調査官の税理士の方はおっしゃっていました。また、電子は改ざんがしやすいということもあったようです。

 そのためか、いわゆる領収書や電子取引を電子保存するためのハードルが無茶苦茶に高かったのです。
とりあえず列挙すると

・税務署長の事前承認が必要

・スキャナ保存をするためには保存した本人が署名して、営業担当者がスキャンする場合は3日以内、経理担当者の場合は2か月以内にタイムスタンプを押さなければならない

・紙と原本とスキャナ画像であることを社内でまたは顧問税理士等がチェック(相互牽制)

・様々な項目での検索要件の設定

ここまでハードルが高かったらよほどペーパーレス化の強い意思がない限り絶対やらないといえるでしょう。ここにあげたような面倒なハードルは今回の改正で撤去されましたしかし、まだ日付と金額と相手先ごとに検索可能にするなど国税調査の便宜のための面倒な条件残っています

 個人的な見解ですが、まずは国や地方自治体ですべて紙の書類は使わないくらいの電子化目指していただいてそれから民間に強制されてはいかがでしょうか?よく「隗より始めよ」ということわざもありますから