相続税対策としてアパートは適切か

アパート

今日の日本経済新聞でアパートが急増しているという記事が載っていました。5月の住宅着工率で持ち家が前年比4.3%なのに対し貸家は15%の伸びになっているとしています。銀行のローンでも普通の住宅ローンではなく、アパートローンの伸びがかなりの部分を占めていると伝えています。

団塊世代の相続税対策というのが一つの理由のようです。確かに相続税の基礎控除が5000万+1000万x相続人の数から3000万+600万x相続人の数に今年の相続分から下げられました。そういった意味で相続税対策をしなければならない層がふえていることは確かです。おおむね相続財産アパートローンの利点として相続税の評価の際、土地、建物ともに評価額が貸アパートにしていると評価が下がる一方ローン残高はそのままの金額ですから、相続財産の価額が下がり相続税は確かに安くなるのは事実です。

ただし、この仕組みで確実に得をするのはアパートを建設するハウスメーカーと融資をする銀行でアパートを建設者には不確実性が残ります。ハウスメーカーは建てればそこで確実に利益が出ますし、アパートの管理を子会社が受託してまた利益を得ることができるかもしれません。銀行は普通の住宅ローンより高い金利を得ることができ、たとえローンが延滞しても担保の土地建物を売却してローンを回収することは容易です。

一方アパートの建設者は30年近いローンを抱え込みます。10年くらいはいいのですそれを超えると空室率のリスクは高まります。家賃の回収分よりローンの返済分の方が下手をすると多くなり、最悪土地建物を売却してローンを返却したら手元に何も残らないということになります。

住宅メーカーと銀行はほぼノーリスクでリターンを得るのですから少なくとも彼らの言いなりになってしまうのは危険です。きちんと築10年、築20年、築30年の空室率のデータなどを入手してきちんとキャッシュフロー計算をしたうえで判断されることをお勧めします。一般的な事業の投資では私が普通に経営者の方の依頼を受けてやっていることでアパート経営者も経営者です。きちんと本人または専門家に依頼してやっておくべきことです。大きな買い物なので是非考えられたほうが良いと思います。

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