IFRS適用企業は増え続けるか?
日曜日の日本経済新聞でIFRS(国際会計基準)適用企業が140社程度になりそうだという記事が1面に載っていました。以前上場企業への強制適用の話があったのですがすっかり話題にも載らなくなっていました。東証のデータによれば5月現在適用会社は74社、適用決定企業は39社です。
この顔ぶれを見ると非常にユニークなのが業種によって偏りがあるということです。たとえば製薬は武田製薬をはじめ8社がすでに導入済、総合商社も三菱、三井、伊藤忠、住友商事、双日とすべて導入されています。一方金融業界は銀行はゼロ、証券もSBIとマネックスのみと大手はゼロです。全く金融業界は興味を持っていないかというと実は準備は秘密裏にされているようです。私が以前ある金融業のIFRS導入のための会計業務プロセスのコンサルティンングを行った際IFRSはほぼ開始できるしくみは構築されつつありました。他社の動きを見て他社が動けば自社もすぐ動くといった形で準備していると担当役員の方は述べられており、おそらく業界トップクラス企業が動けば雪崩を打ってIFRS導入になると思われます。
IFRS導入というと、外人投資家のための比較可能性や、M&Aののれんの償却がクローズアップされ気味ですがグローバルグループ経営をきちんと整える意味ではいい機会かと思います。以前から日本企業は海外子会社の経営管理が弱いと言われていましたがその原因の一つとして会計管理の弱さがあったと思います。IFRSを機にきちんとした連結パッケージを作成し、グループ会社の勘定科目を中心とした統一した会計処理をグローバルで行う企業が多いようです。現地のレポートを単純に合算するのではなく、統一した基準・フォーマットで作成することにより業績管理なども統一の指標でできるわけです。是非、IFRS導入を黒船襲来のようにとらえず、経営管理を改善する良い機会と思っていただければと思います。これは必ずしも1部上場の巨大企業だけでなく、グローバル展開を行う中小企業にも大切な視点だと思います。実際私も中小企業のIFRSを採用したグローバル経営管理の構築を現在もお手伝いしております。
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