ベンチャー企業の人材不足についての私見(特にCFO)
独立して4年になりますが、いまだに外資系日本法人やベンチャー企業におけるCFOのポジションに興味がないかという話を月1回くらい頂戴します。ありがたいお話ではありますがお断りをしています。前者の場合はそれでもある程度の水準の方々がマーケットにいるとは思うのですが、後者の方が日本の将来の発展を考えるとシリアスかもしれません。
ベンチャーのCFOのスキルとしてざっくり必要だと思うのは①資本政策を立てて資金繰りと両にらみで資金調達をすること②事業計画の取りまとめ③内部体制の構築④会計税務(含む管理会計)ですべて重要なのですが緊急度の順番でいうとこの番号順ではないかと思います。大きく分けて供給源はVC(ベンチャーキャピタル)・証券会社の公開引受部門の方と公認会計士かと思います。一般論として前者の方は割とこの緊急度の順番で強みをもっていますので、比較的③④が弱いです。逆に公認会計士は②~④はわりと強いのですが①が比較的弱いケースが多いです。世の中で①~④全部できる人間は多分ベンチャーCFO経験者以外はいないのですごく候補者が少ないことになります。
私がベンチャー企業のCFOだったころに米国シリコンバレーのベンチャーと様々な交渉をしたのですが、特に管理部門はフルタイムでない人が多かったです。法務や財務のトップやその他に週1~2回出社する外部のコンサルタントを起用するケースは非常に多く見ました。
割と初期のステージでは①が重要なのですが後半にかけて②③の重要度が増していくので実はスキル的には初期とと後期では求められるものが違います。あまりここでは述べませんが上場した後はキャピタルマーケットからの資金調達になりますからまたこれも違うスキルが必要です。本当はそれぞれの段階で違う人に変えていけばいいのですがそうはいかないでしょう。このあたり、いいベンチャー支援のコンサルタントがいないから外部に頼らないのか、日本のベンチャー企業が自前にこだわりすぎるのでベンチャー支援のコンサルタントが育たないのか、にわとりと卵の関係かもしれません。ただシリコンバレーのようなベンチャーが生まれる生態系が育っていないことになります。
昨年公認会計士協会東京会でベンチャーCFO経験者やベンチャー支援をしている公認会計士でベンチャー企業についての資本政策について研究報告書を作成しましたが、その人たちでもあまりコンサル依頼の需要は高くないようで専業でやっている人はほとんどいませんでした。上場直前は確かにCFOがフルタイムでないと上場審査で支障が出る可能性があるので(それ自体再考の要はあるとは思います)仕方ないですがそれ以外は外部の力をうまく使うことを考えた方がよいと思いますがいかがでしょうか?
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