改正保険業法施行で保険ショップはどうなる?
私が会社に勤め始めたばかりの20世紀の時代は日本の大手保険会社の営業の女性がよく社内に出入りして昼休みなど特に若手職員などに生命保険を勧めていました。今はそのような形態はほぼ姿を消し町の保険ショップなどで保険を検討する人も増えたと思われます。保険ショップのいい点は何社もの保険を扱っていて自分の生活設計などにぴったり合った保険を勧めてくれるのではないかという点だと思います。しかし、現実として保険ショップもビジネスですから手数料が高かったり、達成できそうな高額なインセンティブなどがある保険を勧めているのではないかという疑いが持ち上がってきました。
保険の場合、いったん保険を購入した顧客がもう一度リピートすることはあまりないですし、購入した後他の商品と比べることも多くはありません。そういった意味で、各店舗が短期的な手数料売上高のみで厳しく査定されていれば当然顧客の意向より手数料重視でとりあえず売ればいいという姿勢になることは極めて自然な流れです。別に今回の保険業法改正は保険ショップのみに適用されるわけではなく、保険の募集一般に対する改正ですが、意向把握義務が明記され、その中で情報提供義務に関して詳細な規定が設けられていることをみてもここに大きな軸足があることがわかります。
その中で顧客にアンケートを取って意向を正確に把握し、その意向に合った商品を「すべて」提供することや、その中である保険に絞って説明する場合はその理由もきちんと顧客に説明しなければなりません。方向性としては正しいのですが、法律で定めると、とにかくショップ側はやたらと形式だけ整えようとして膨大な書類の作成が保険ショップと顧客双方で生じる可能性が高いです。
市場がきちんと機能していれば、顧客の利益を最優先に考えている保険ショップだけが生き残り、短期的な手数料で顧客の意向を無視するような保険ショップは淘汰されていくはずです。しかし、明らかに保険ショップ側と購入者では情報の非対称性があるため市場が機能していないようです。規制をかけて情報の非対称性を少しでも解消しようという金融庁の方向性は正しいとは思うのですが、保険ショップ側の自浄作用でできなかったのは残念なことだとは思います。
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