フォードの日本撤退で思うこと

車

 

フォードが日本とインドネシアから撤退するようです。てっきりこれはプレスリリースかと思っていたのですが、現地法人の従業員に送ったメイルより発覚したようです。経営に与える重要な事象であればきちんとプレスリリース等で公式に発表しないとインサイダー取引の観点からもまずいのでそういった意味では全般の業績的には些少なことであることが推測されます。

フォードは売上げ不振ということですが、2014年まで5年連続輸入車の販売台数は伸びて29万台が販売され国内シェアーも8.8%までいきました(日本輸入車組合の資料)。今年も伸びが期待され30万台と言われていましたがVWの排ガス不正問題で一服ということになりました。その中でフォードは5000台を割り込み確かにこれでは撤退を考えざるを得ないということでしょう。

ここからは全く車に詳しくない私の個人的な感覚の話です。私は昔2000年初頭アメリカ生活をしていた頃フォードのトーラスに乗っていました。車自体は会社支給のリースだったのですが、アメリカ生活なのでアメ車がいいよなと思っていました。最初感じたことは社内アクセサリーなど細部のつくりが雑なことです。2日目くらいにドリンクホルダーか何かが壊れ、しばらくしてシートベルトが異常にしめにくくなりました。要するに細部ではいろいろと作りに手抜きがあるわけです。最初はひどい車だと思っていたのですが、アメリカ生活に慣れてくるとすべてにわたって日本と比べて細部が雑(デリバリーを頼んだら遅いうえに違うものが来る、バーコードなのにレジは確かめないとかなりの確率で間違えがある・・・)なことに慣れてきます。すると、ガソリンは消費しますが安定感はあるし、だんだんこの車が好きになってきました。実は一度車をこすってしまい傷を少しつけてしまったので会社に返却する際に少し負担があるかなと心配していました。しかし、会社の担当者はコスリ傷くらいは全く問題がないと気にもしていませんでした。車に対する感覚は随分違うわけです。

ポイントはアメリカ的な考えだと極端にいうと重要なポイント―例えばブレーキ関連など―さえきっちりやっておけば後はそんなに気にしません。想像ですが当然フォード日本の担当者は本社にきちんと細部まで丁寧な仕事をするべきだと訴えたはずですが当然アメリカ本社のお偉方はコスト面からもそんなことは許可しなかったのではないでしょうか?一方日本の消費者はそういった細部のつくりでも雑だと結構不満を持ちます。このあたりが不振の原因ではと思いました。

一方で日本の細部まで丁寧に作るという方針は先進国では受け入れられると思うのですが新興国ではどうなのでしょうか?このあたりトヨタの新興国の今一つの不振につながっているのではないかと思います。