クックパッドの内紛について感じること

クックパッド

クックパッドで創業者の佐野陽光氏が取締役の刷新を求める株主提案をだし、経営の内紛とニュースになっていました。佐野氏は自らの社長就任と新しい事業プランを求める提案を出していましたが、経営陣側は社外取締役を中心に特別委員会を開催し佐野氏の提案を却下したため今回の事態になったようです。㈱みんなのウェディングの買収など現経営陣は多角化を図っていますが、佐野氏側は料理事業を中心として海外展開に注力するべきだという意見を持っているようです。また、この特別委員会の結論についても「公正中立を装った」と非難しています。やや感情的に見える今回の措置です。

IFRSの新規適用などで単純比較はできませんが前期比で第3四半期まで売上、営業利益ともに40%の増益で順調に推移しているように見えます。一方確かに度重なる買収で約250億の総資産で約75億ののれんとバランスは悪くなっています。今回のIFRSの新規適用ものれんの償却を計上しないためという意図はミエミエかもしれません。ただし、ほぼ無借金で自己資本比率は86%、財務状況を考えない無理な買収ではありません。

単に財務数値を見ただけでは特に現行の経営陣の方針が悪いと明らかに言える材料はありません。㈱みんなのウェディングの買収にしても口コミサイトということで本業と関係のない事業の多角化にとはいえないでしょう。ただ、「毎日の料理を楽しみにすることで、心からの笑顔を増やす」という企業理念からは違った方向に進んでいるのは確かです。利益を上げることが至上課題の上場企業であっても企業理念は大切にしていかなければならないと個人的には思います。このあたりが崩れると短期的には業績はよくなっても中長期的に企業は少しずつ衰退していく気がするのです。